フライを「両手で捕れ」は正しいのか? プロの名手が野球少年へ明かす守備のコツ

文:大利実 / Minoru Ohtoshi

XFacebookLineHatena

左肩よりも右肩の前で捕球する利点とは?

 プロ野球の内野手を見ていると、高々と上がったフライでも、落下点を素早く見つけ、難なく捕球体勢に入る。「プロだから当たり前」と言えばそれまでだが、「プロだからこその技術」が必ずあるはずだ。その技術は、小学生にもきっとヒントになる。オリックスなどで活躍した大引啓次さんは、「左肩の前で捕る」を意識していたと明かす。

 フライを捕るポイントは、「まずはボールの見方にある」というのが大引さんの考えだ。

「自分の体のちょっと前にボールを置いておきたい。イメージとしては、一旦、後ろに下がってから、最後に前に詰めて捕るぐらいの意識のほうが、落下地点を掴みやすくなると思います」

 体の後ろにボールが入ると、いわゆる“自動車バック”の形になり、捕球の動きに制限がかかりやすい。

 その上で、捕球の体勢にも大引さんならではのポイントがある。

「右足を少し引いて、左脇を空けて、右肩の前あたりで捕るようにしていました。(左利きの場合は、左足を引き、右脇を空けて、左肩の前で捕る)。このほうが、グラブのウェブでしっかりとボールを捕ることができる。あとは、脇を空けることで、グラブを持った左手の自由度が利きやすい感じがありました」

 これが、左脇を締めて、左肩の前で捕ろうとすると、グラブの土手付近で捕ることになり、万が一のミスが起きやすいという。

 ただし、試合の中ではどうしても左肩の前で捕らざるをえない場面も出てくる。大引さんにも、苦手なフライがあったそうだ。

【次ページ】左肩の前で捕らざるをえない状況もある

トレンドワード