感情を言葉にするのが大事、大人が先走るのはNG

――なぜ、頭では理解していても、感情をコントロールするのは難しいのでしょうか?

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「まだ10代は成長過程なので、身近にいる大人の役割も重要になります。子どもたちが怒ったり、落ち込んだりするのは、練習しているのに結果が出ない自分への苛立ちや悔しさなど、それぞれ理由があります。そこで、大人がやりがちな“失敗”が2つあります。

 1つは、子どもが感情を言葉にする機会を大人が先走って奪ってしまうことです。試合に負けたお子さんに対して、保護者や指導者の方が『悔しかったよね』と先に言ってしまうのを、現場でよく見聞きします。話をしようとしている子どもが、大人の言葉に『うん、うん』とうなずくだけの状況です。感情をコントロールするには感情を言葉にするのが大事で、頭の中の整理にもつながります。これが『気付いて対処』です。大人が先に言ってしまうと整理にはなりません。部屋の片付けを親がやっていると、いつまでも自分で片付ける力がつかないのと同じなので、先に言語化してしまうのはグッと我慢して待つことが大切だと思います。

 もう1つ、注意してほしいのは『そんなに落ち込まなくていいよ』というように励ますことです。もちろん、励ましは、うまくいく時もあります。ただ、子どもたちには『あんなに練習したのに』と落ち込む理由があります。特に、野球はチームスポーツなので、『チームに迷惑かけた』と感じてしまいます。その時に、周りの大人がいきなり『落ち込まなくていいよ』と声をかけるのではなく、『落ち込むのは、それだけ練習してきたからなんだね』と、まずは子どもに生じた感情をそのまま受け入れるのが大切です。落ち込むだけの理由があるからですね。これが『心に寄り添う』ということだと思います。

 オリンピックやパラリンピックに出場する選手でも一緒で、周りから見ると銀メダルや銅メダルを獲ったら『おめでとう』と声をかけたくなります。でも、本人は金メダルにこだわっていたり、自分のプレー自体には納得していなかったりする場合があります。周りはメダルを獲ったことを祝福しますが、本人なりの悔しさがあるので、選手は、自分の感情と周りの言葉のずれに苦しくなる時もあります。逆に、メダルに届かず4位でも、力を出し切って達成感を得られる選手もいます。それぞれの子どもたちにポジティブな感情になる理由、ネガティブな感情になる理由があると、大人は理解しておくことが重要ですね」

○プロフィール
筒井香(つつい・かおり)スポーツメンタルトレーニング指導士。大阪府大阪市出身。高校時代にサッカー部でメンタルリーダーを務めた経験から、心理面でアスリートを支えることに関心を持つ。大学・大学院で人間行動学やスポーツ心理学を専攻し、研究を重ねて2015年に博士号(学術)を取得。その後、スポーツ現場や企業などでメンタルトレーニング業務に従事。2020年にアスリートのメンタルサポートやキャリア教育などを事業とする株式会社BorderLeSSを設立。子どもたちからトップアスリートまで幅広くメンタル面でサポートしながら、複数の大学で非常勤講師を務めるなど研究・教育活動にも従事している。
Twitter:https://twitter.com/PhD_Kaori

(間淳 / Jun Aida)

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