中学から「運動センス」を養うのは遅い? 全国4強の軟式野球監督が説く“才能の本質”

公開日:2025.04.22

文:橋本健吾 / Kengo Hashimoto

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神奈川の中学軟式強豪監督が、野球センスと繋がると考える「多様なリズム感」

 野球の“センス”は日々の練習で鍛えることができるのか? 今春の全国大会でベスト4入りを果たした中学軟式野球の強豪、神奈川・相陽クラブの内藤博洋監督は、リズム感を養う指導を取り入れてプレーの質を高めている。First-Pitchでは野球などのスポーツ界で活躍する専門家・トレーナーに子どもの「運動神経向上」をテーマに取材。監督は、「センスは生まれ持ったもの」という“定説”を明確に否定する。

 内藤監督は、ノックとウオームアップを兼ねた“ノックアップ”を考案するなど、独自の指導法と選手たちとのコミュニケーションを大切にしている。「私たちのチームは守備や打撃でも、自分の番ではない選手の方が、声を出し体を動かしていると思います」。平日練習はわずか2時間と限られている中、グラウンドは子どもたちの活気ある声で埋め尽くされている。

 野球を含めスポーツでよく言われる言葉が「センスは生まれ持ったもの」。同じ練習をしても、なぜか打てる、走れる、投げられる――。そういう選手もいれば、その逆もいる。センスや才能は、努力では手にすることはできないのか? だが、内藤監督は次のように語る。

「結果を残す選手には理由があります。野球では三拍子が“捉えるリズム”とよく聞きます。例えば打撃では1、2、3で捉えますが、体の動きを早くすれば、個々の持つ体感リズムが“早い三拍子”にも感じられます。多様なリズム感を持っている子は様々な局面で対応できる。そこが才能やセンスと言われるものかもしれません」

掛け声や間の取り方を変化…投手のテンポに対応する“リズム素振り”

 チームで取り入れる「リズム素振り」も、リズム感を養う練習の1つだ。1、2、3の掛け声で、最後の「3」で一番強くスイングするのはよくあるが、「3」を「サーン」に変えることでスイング自体が大きくなる。さらに、軸足(右打者なら右足)に体重を乗せる“溜め”の時間を変化させることで、速球や変化球、クイックなどを使い分ける投手のテンポにも対応できるようになる。

 守備練習の際も打球のスピードや、ワンバウンド、ツーバウンドなど何度もパターンを変化させ、同じリズム感での捕球にならないよう徹底している。「ノックをただ受けるのではなく、色んな打球に挑戦させる。小学校から上がったばかりの中学1年生には『ボールを獲物と思って狩りをしなさい』と伝えることもあります。ゲーム性を持たせることで、様々な動きに対応できるようになります」と、型にはまらないプレースタイルを求めている。

 まだ成長過程にある中学生には、まずは“体を扱う能力”を高めることが重要だと感じている。高校野球に向けた準備期間で、どれだけ“センス”を伸ばしていけるか。内藤監督は「行動、意識が変われば必ず変化は見られる。日々の練習で積み重ねてほしい」と口にする。

 内藤監督は22日の、野球の技術向上に不可欠な「運動神経」にフォーカスしたイベント「運動神経向上LIVE」第2夜に登場予定。チームで取り入れる“リズム感”を高める練習法、子どもたちのモチベーションを高める秘訣などを明かしてくれる。

「運動神経向上LIVE」4月25日(金)まで開催中…見逃し配信もあり

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