スイング軌道を“長くとる”コツ 中学生にプロが伝授…「理論上間違いない」構え方

文:高橋幸司 / Koji Takahashi

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元燕・志田宗大氏が東京農大一中軟式野球部でスイング速度計測

 ヒットの確率を上げるバット軌道を作るには、“構え”にヒントがある。プロ球団にデータ分析システムなどを提供するライブリッツ株式会社の志田宗大さん(元ヤクルト)が、4月下旬に東京・世田谷区の私立東京農大一中軟式野球部で、同社がアマチュアチームに提供する「FastBallデータ計測サービス」にてバッティング計測を行った。スイングスピード測定が主な目的だったが、中学生たちが興味を持った、打撃の確実性に関わるもう1つのデータとは。

 東京農大一中軟式野球部は、「野球を通じて主体性を育み、高校・大学で開花する、長く野球に関わり競技普及に貢献してくれる選手」の育成を掲げており、顧問の吉田亮先生は普段から、外部コーチを招聘するなど“多様な考え方”を選手たちに触れさせている。「志田さんからの“プロ視点”の助言をもらい、選手たちがアウトプットできるようになってくれれば」と、今回、計測を依頼した意図を語ってくれた。

「スイングスピードを測る上で1つだけ意識してほしいのは、目いっぱい振ること。変にかしこまらず、普段通りの形で強く振ることを心がけてください」

「侍ジャパン」や中日のアナライザーを歴任してきた志田さんの言葉で、計測はスタート。3年生10人、2年生9人、そして入部を希望する新入生も加わり、前からのトスを打つ形で10球ずつ、それぞれの“マン振り”を披露していった。

 使用した計測機器は「ブラスト」で、グリップエンドに装着したセンサーから取った数値をタブレットに表示。同部は都大会出場を目指すレベルで、中学から野球を始めた子もいる。「90〜95キロが出れば素晴らしい」と志田さんはスイングスピードの目標値を示していたが、中には“素晴らしい”レベルを超える数字を叩き出す選手もいた。

 タブレットを覗き込む選手たちが、スイングスピードに加えてもう1つ興味津々の項目があった。「オンプレーンスコア」だ。投球の軌道にどれだけ長くバットを入れられたかを20〜80の数値で評価するもので、高ければ高いほど、ボールを“線”で捉える確率が上がることになる。「60」を超えれば優秀といわれるが、中にはスイング速度こそ速くないものの、オンプレーンスコアはチーム上位という選手もいた。

スイング速度とトレーニングとは相関関係

志田さんのタブレットで計測結果を確認する選手たち【写真:高橋幸司】

 ボールが柔らかく、“点”で打っても飛ばしにくい軟式球は特に、軌道面を長くとれるかが確実性や飛距離向上の鍵になる。それだけに、部員からも「軌道を良くするにはどうすればよいでしょうか」という質問が志田さんに飛んだ。

 そこで志田さんが伝えたポイントが、「バットを肩に寝かせて構える」ことだ。

「バットを立てて体の前で構えようと捕手側で構えようと、結局は後ろ肩の方からバットは(寝て)出ていく。“余計な動作”が入ることで軌道が波打ってしまうのであれば、初めから寝かせて構えたほうが、体の回転と一緒にバットもきれいに出しやすく、ボールに当てやすくなるのは理論上も間違いありません」

 志田さんによると、軟式・硬式を問わず、左打者の方がオンプレーンスコアは高く出る傾向があるといい、「一塁方向へ向かう体の回転と共に、自然に良い軌道にバットを入れやすいのでは」と推測する。とはいえ、成長期の中学生にとっては、まず体力がなければ技術は伴わないし、強く振れなければ打球は飛ばない。スイングスピードを計測のメインに据えたのも、そこに理由があり、“本質”がある。

「スイング速度とトレーニングとは相関関係にあります。筋量を上げないとスイングは絶対に速くならない。今日の段階では速い人、遅い人といたかもしれないけれど、今後スピードを上げるにはトレーニングが大事になるのは共通です。日々少しずつでも継続して、体を作っていってください」

構え方について説明する志田さん【写真:高橋幸司】

 構えの話をする際、志田さんは「人それぞれ好みがあると思うし、工夫してやってほしい」と付け加えることも忘れなかった。小・中学生への技術指導は「『プロの人が言っていたから、こうします』となりやすい」と“鵜呑み傾向”を危惧していたが、「志田さんからのアドバイスは的確で、とてもためになりました」と語る千葉晃大主将(3年)ら部員たちは“本質”を見失うことなく、早速バランスボールやバトルロープを使って体力作りに勤しんでいた。

 データ計測は練習へのモチベーションに確実につながる。ただ、あくまで入り口だ。そこから課題や伸びしろを見つけ、どう克服したり、伸ばしたりしていけるか。選手たち自身の創意工夫が何よりも大切になる。

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