カットプレーがさらにうまくなる 元プロ遊撃手が伝授、「ワンランク上」の中継

公開日:2022.09.06

更新日:2023.07.04

文:大利実 / Minoru Ohtoshi

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外野手のボールの回転まで頭に入れる

 カットプレーの練習中、指導者から「真っすぐ入りなさい」と教わったことが、一度はあるのではないだろうか。外野手とベースを結んだライン上に入ることで、ロスなく、ボールをつなぐことができる。だが、オリックスなどで活躍した遊撃手・大引啓次さんは、「真っすぐ入るのを基本としたうえで……」と、さらにワンランク上の考え方を提唱する。

「基本的に、外野手の送球はシュート回転します。その回転まで頭に入れて、カットマンに入ることで、より無駄なく、送球をつなぐことができます」

 例えば、右利きの中堅手が左中間で打球を処理し、8(中堅)-6(遊撃)-2(捕手)とつなぐとする。遊撃手の大引さんは、捕手から見たときに、「逆“く”の字」になるように、真っすぐのラインを少しだけへこませていた。

「考えていたのは、ボールを真っすぐ通すこと。僕が真っすぐのラインに入ると、センターはそこを目標に投げてくるので、(捕手から見て)シュート回転がかかって左側に送球が逸れやすくなります。少し右にずれて待っておけば、シュート回転した送球が真っすぐのライン上を通るようになるわけです。仮に、外野手がひとりでホームに投げる状況であれば、カットマンは送球の“目安”にもなります。ラインに真っすぐ入りすぎると、ホームベース上ではシュート回転した送球が逸れることもあり得るわけです」

 もちろん、外野手の送球のクセも頭に入れたうえでのことだ。普段のシートノックから、どんな回転のボールを投げているのか、確認しておく必要がある。

「一番、送球がよかった外野手は誰ですか?」と聞くと、間髪を入れずに答えてくれた。

「坂口(智隆)ですね。僕のことを信用して投げてくれている感じがあって、とてもやりやすかったです」

【次ページ】レフト線に飛んだ打球をバックホーム、カットマンのショートはどこに入る?

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