回転効率99%も「空振りが取れない」 悩む中学生にプロ助言「球質コンテストじゃない」

更新日:2026.07.08

文:磯田健太郎 / Kentaro Isoda

XFacebookLineHatena

侍Jの元スコアラー・志田宗大氏がデータ活用術を中学生に伝授

 データ全盛時代に、現代の投手は何を頼りに技術を伸ばしていくべきなのか。プロ球団にデータ分析システムなどを提供するライブリッツ株式会社の志田宗大さん(元ヤクルト)が、6月上旬に静岡の東海大静岡翔洋中軟式野球部で、同社がアマチュアチームに提供する「FastBallデータ計測サービス」にて投球と打撃の計測を行った。日本代表「侍ジャパン」のスコアラーも務めた野球アナリストが、中学生に伝えたこととは。

 東海大静岡翔洋中は、3月の全日本少年春季軟式野球大会で準優勝を収めた強豪だ。個人でデータ計測に足を運ぶ選手はいるが、チームとしての計測は初めて。寺岡裕紀監督は「今まで自分の感覚だけで指導をしてきたので、ここでデータや数値も頼りにしてさらにレベルを上げていきたいと思ってお願いしました」と、意図を明かす。

 ピッチング計測では3年生の投手陣を集めると、志田さんは球速や回転軸、回転数などを分析できるツールの「ラプソード」を用い、一人ひとりの球筋を1球ごとに確認していく。「回転数が多ければいいというわけではない」「大谷翔平選手の回転効率は何%だと思う?」と、一人ひとりにデータ分析の知見を授けた。

 中には控えながら、直球の回転効率が99%の高数値を何度も叩き出す投手も。回転効率は、球の回転をどの程度変化量に反映できているかを0〜100で表す数値。高ければ高いほどホップする直球を投げられる可能性を持つ。

 しかし、本人の悩みは「空振りが取れないこと」。3年生で最速112キロと球速がそこまで速くないこともあり、回転の良い直球を投げ込んでも、バットに当てられてしまうことが多いという。そこで変化球をより磨こうと考えていたが、志田さんが伝えたのは、今ある“武器”を生かすことの重要性だった。

「空振りが取れなくても打ち取る方法はいくらでもあります。強豪で目指す理想が高いので、もっと圧倒するような投球を求めてしまうのかもしれませんが、実際に良い数値を出しているストレートを磨く方を勧めました」と志田さん。また「フィジカルがついて球速が上がればもっと良いストレートになるから」と、前向きな声をかけていた。

データは有用も…あえて“伝えない”数値

中学生一人ひとりに丁寧にデータ分析の知見を授けた【写真:磯田健太郎】

 一方で、計測してもあえて志田さんが伝えないデータもあった。例えば回転軸だ。投手側から見たときにどのような回転で投げられているかを示す数値だが、傾きが大きい投手が「『軸立てるのにどうすればいいんですか?』と悩んでしまうことがあります」という。「回転軸は、何年もかけて身につけた“投げやすい位置”によって決まるものなので、急に変えると投げ方に影響するリスクがあります」。

 また、そもそも投手は試合で相手打線を抑えるのが役割であり、「球質を競い合う“コンテスト”をするわけではありません」と語る。「あくまでデータは結果を出すための引き出しの1つでしかないので、参考にしつつ、自分の投球技術とミックスしていくのがいいと思います」と続けた。

「『僕のスライダーどのくらい曲がりましたか?』とか、やっぱり今の子たちは知識は相当持ってますね」。データに興味津々の投手陣の様子に、志田さんは目を細めた。授けた知識を活かし、選手たちは着実に上達の階段を登っていくことだろう。

読んで理解したら、次は動画で習得する

 中学生ら育成年代の野球指導に役立つ練習法や考え方を、実際の動きでも確認したい方は、First Pitchと連動している野球育成動画サービス「TURNING POINT」(ターニングポイント)をご活用ください。

 通常は有料会員向けの指導ドリル第1話を、無料会員向けにも公開中です。さらに無料登録だけで、250本以上の指導・育成動画が見放題。メールアドレス・Google・LINEで30秒ほどで登録できます。

無料登録して指導動画を見る
30秒で登録完了 メール・Google・LINEで登録可能

 育成年代を熟知する指導者や元プロ野球選手など専門家70人以上が、打撃・守備・投球・走塁・体づくりまで、上達につながる練習法を動画で解説しています。

■TURNING POINTの特徴を詳しく見る

トレンドワード