
小学生で130キロを投げる投手も…アジア選手権は「バッティングに苦労する」
侍ジャパンU-12日本代表は、8月9日から中国・杭州市で開催される12歳以下の国際大会「第12回 BFA U12 アジア野球選手権」に出場する。過去11回のアジア選手権において、日本が掴んだ栄冠は2016年のわずか1回のみ。この高い壁を打破すべく、今回チームを率いる桑田真澄監督(オイシックス新潟CBO)は「勝負事ですから、やっぱり勝たなきゃいけない」と勝利へのこだわりを強く打ち出している。
日本の学童野球の常識が、海外では一切通用しない――。それが国際大会の厳しさでもある。日本とは違うストライクゾーンや、内野が天然芝のグラウンド、整備が行き届かず、打球が不規則なバウンドをすることもある。何より、小学生にとって「完全アウェー」の地で試合をすることは、技術以前に、慣れない環境との戦いでもある。
その中で桑田監督が描く理想のチーム像は、バッテリーを中心とした「守り勝つ野球」だ。
「ガンガン打つチームではなかなか勝てないというのは、長年野球をやってきて分かっています。足を使ったり、1点を守り切れるようなチームを目指したいなと思います」
桑田監督の言葉通り、代表の精鋭15人が挑む初の国際舞台は、日本の学童野球の常識が通用しない過酷な環境が待っている。2024年の前回大会でもチームを指導した野下卓泰コーチ(横浜Jブルーウインズ)は、アジアのライバルたちの規格外のレベルをこう証言する。
「前回大会では、韓国の投手が130キロぐらい、チャイニーズ・タイペイもサイドスローから125キロを投げてきました。バッテリー間の距離も短いですし、変化球もある。子どもたちにとっては見たこともないスピードと軌道になり、バッティングは非常に苦労します」
レベルに近いスイング軌道…「飛ばないバットに対応できている」

海外勢の圧倒的なパワーとスピードに対抗するため、チームが選択するのが徹底したミート力重視の「スモールベースボール」だ。長打に頼るのではなく、確実にボールを捉え、しぶとく1点をもぎ取る。そのための布石として、6月下旬に行われた最終トライアウトではあえて木製バットでカーブマシンを打たせる試みも行われた。
複合バットの使用に慣れてきた現代の小学生にとって、芯を外せば飛ばない木製バットは一見ハードルが高く映る。しかし野下コーチによれば、「大会はリトルリーグ用の金属バットを主に使用するのですが、前回はみんな木製を使いたがったので、今回から持参しました。意外と金属が飛ばないと言うので、スイングが強ければ木製を使いたがる子も多いです」という。
また、昨年から学童野球で一般用複合バットの使用が制限された影響も見られるという。塚本幸治コーチ(横浜Jブルーウインズ)も、アッパースイングの子が多かった以前と比べ、「子どもたちのスイング軌道がレベルに近く、普段からある程度、飛ばないバットに対して対応できていると感じました」と、選手たちの印象を口にした。
今回選出された15人中、投手をこなせる選手は12人。さらに捕手、内野手、外野手もできるオールラウンダーが2人選出されるなど、ディフェンス面でのユーティリティー性が選考の最優先基準となった。豪快に長打を放つ野球ではなく、守備からリズムを作り、小技を絡めて緻密に戦い抜く令和版スモールベースボール。球界のレジェンドである桑田監督が提示した明確なチーム方針の下、スタッフと選手が一丸となって2度目のアジア王座奪還へと突き進む。
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