
日米通算197勝右腕が中学生球児に語ったマウンド上での心構え
日米通算197勝の実績には、マウンド上で「後悔しない選択」をするための準備があった。巨人入団が発表された田中将大投手は、12月8日、東京都内で開催されたピッチング直接指導企画「マー君ラボ2024 supported by ミズノ」に参加した。中学3年生を対象に「失敗することは悪くない」と豊富な経験も交えながら、熱量たっぷりに、少年野球にも役立つメンタルの大切さを伝えた。
今回の企画では、高校進学を2025年春に控えた6人の中学生投手が田中から直接指導を受けた。「学びが多かった」と口をそろえる参加者たちからは、日米で活躍してきた右腕への質問が飛び交った。「壁にぶち当たった時」の対処法について、田中は「いろんなことにトライして」と語りながら、こう続けた。
「すべて最短距離で行ってもしょうがない。いろんなことを知らないままで進んで行くことになると思うから。アンテナを張って多くのことをやって、自分に合うものを見つけていく。『こう投げればいいんだ』『こういう感覚で投げればいいんだ』というものを見つけておくことが、いざという時に役立つと思います」
野球への向かい方やメンタルに関する質問が続く。マウンドでの心構えについては、一度“リセット”することも大切だと説いた。
「1つ1つ、整理して投げる。漠然と『抑えなきゃいけない』『力を入れて投げるぞ』と思うのではなくて、自分が今、何をしなければいけないのか、どういうふう投げていけばいいのかだけを考えていればいいと思います」
結果だけにとらわれ、「打たれたらどうしよう……」と思うのはマイナス。たとえピンチを迎えた場面でも、「何が必要かを考え、後悔しない選択をしほしい」と言う。
「緊張」は、野球に対して真剣に取り組んでいる表れ

2013年、当時楽天の田中は日本シリーズ第6戦で160球を投げ、翌日の第7戦もリリーフで登板して球団初の日本一の立役者になった。
「あの時は、気持ちを切ったら次の日は投げられないと思ったので、160球を投げ終えた直後からずっとスイッチが入ったままだった。翌朝には『今日は絶対に投げる』という感じで、第7戦では早めに球場へ行ってトレーナーさんに投げられる状態に整えてもらった感じですね」
中学生であろうが、強い気持ちを維持して試合に挑むことは大切だろう。緊張で「いつものパフォーマンスができない」と悩む選手はいるものだが、緊張との向き合い方についても田中は的確なアドバイスを送る。
「僕は毎試合、緊張しています。でも、緊張することは悪いことだと思わない。自分がどれだけ、投げること、そして野球に対して真剣に取り組んでいるかという表れでもありますから。自分が積み重ねてきたものがあるから緊張するわけだし、それをちゃんと受け入れてあげればいい」
田中は自身の野球人生を「失敗ばかり」と振り返るが、同時にその経験がなければ、これまでの歩みはなかったとも言う。
「失敗がないと成功は近づいてこない。ずっと成功ばかりしていると、物事に対しての『深み』がないと思うんです。いろんな失敗をして乗り越えて、どんどんとレベルアップしていってほしいですね」
中学生にとって大きな“経験”になった時間。「どんな時でも最後まで戦い続け、ベストを尽くすこと」。田中は、常に強い気持ちを持ち続けてグラウンドに立つ大切さも伝えた。
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