4つの掛け声で楽しく…王貞治氏創設「世界少年野球大会」での投げ方指導
野球初心者への指導にあたり、最初にして最大の難関ともいえる「投げ方」をどう教えるか。年上の世代では、プロ野球中継を見て真似したり、草野球などで自然に覚えていったりした動作だが、そうした環境に恵まれていない今の子どもたちに伝えるとなると、意外と難しい。ヒントとなる教え方が、7月末から8月にかけて福岡で開催された「世界少年野球大会」の中にあったので紹介したい。
「世界少年野球大会」は、王貞治氏(ソフトバンク球団会長)と故ハンク・アーロン氏(元ブレーブス)の日米の本塁打王が、世界の子どもたちに野球の素晴らしさと「正しい技術」を広めようと、1990年に立ち上げた普及イベント。30回目を迎えた今回には、日米、ドイツ、南アフリカ、さらにベトナムやミクロネシア連邦など、世界14か国・地域から10~11歳の少年少女約100人が集まった。その多くは、野球に触れたことのない初心者だ。
初日からグループに分かれて、投げる・打つ・捕る・走るの動作を、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)から派遣された11人のコーチ陣が明るく、楽しく指導。中でも印象的だったのが投げ方だ。コーチの掛け声に合わせて、子どもたちも大声を上げて行っていたのは“4つの動作”だった。
From the side!(まずは横に)
Ball to the sky!(ボールを空に)
Grab yourself!(自分をつかむ感じで)
Over the top!(投げ下ろせ)
「From the side」で両足を肩幅程度に開いて横向きに立ち、顔は投げる方へ。「Ball to the sky」ではボールを持った手を頭の後ろで、空に向けて掲げる。「Grab yourself」ではグラブを持つ手を上げて投げる方向に向け、「Over the top」で後ろ足を前に移動しながら、グラブを抱え込みつつ、ボールを投げ下ろす……という流れだ。加えて、打球が飛んできた時の対処のために、投げ下ろした後、すぐ捕球体勢に入れるようにすることも伝えていた。
グラブの内側を前に見せて投げれば、下半身が完璧でなくてもOK
教えようとすると、意外と複雑で難しく感じる投げ方も、4つのポイントに集約させれば、初心者の子どもたちにも伝わりやすい。中でも最も大切にしてほしいのは、「投げる方向にグラブを向ける動作」だと、WBSCコーチのルイス・カマルゴさんが教えてくれた。
「子どもたちは、グラブの使い方が『レイジー』(怠ける)になりがちなんです。グラブの向きが下とか横とかになると、リリースポイントがバラバラになって投げたい方向に投げられません。グラブの内側を前に見せて、“カベ”を作って腕を振る。そこを大事にすれば、足(下半身)が完璧でなくても投げられます」
より強く・速くを求めていけば当然、下半身の使い方や細かい動作も重要になるが、初心者にそこまでハードルを高くしなくていい。まずは、グラブの使い方を中心とした4つのポイントで、思うようにボールを投げられる楽しさから伝えてみてほしい。
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