保護者との“壁”撤廃 全国出場の学童監督が見直した関係性…「三位一体」の改革

更新日:2026.05.19

文:間淳 / Jun Aida

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創設15年目で2度の全国大会出場…山梨県の学童チーム「ラウンダース」

 小学生は保護者のサポートなしに野球を続けられない。チームによって事情や考え方は異なるため、保護者の関わり方は正解が1つではないだろう。全国大会出場経験もある山梨県の学童チーム「ラウンダース」は、指導者と保護者の垣根を撤廃した。

 2012年に創設されたラウンダースは、2018年と2024年に「高円宮賜杯 全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」に出場している。チームを率いる日原宏幸監督は選手時代の自身の経験や野球界の通例にとらわれず、グラウンド内外で現状以上の方法を模索している。

 試行錯誤を続けるチームづくりは、結成時から常に変化している。保護者との関係性も、その1つだ。当初は保護者をグラウンドに入れない方針を掲げていたが、今は保護者が積極的に練習をサポートしている。日原監督は5年ほど前に、考え方を改めたという。

「指導者だけで練習をしていた期間、保護者との距離を感じるようになりました。選手、保護者、指導者が三位一体にならないと良いチームにならないと思いました。そこから、チームの輪を大事にしたいと考え、おそろいのTシャツをつくって保護者にプレゼントするようにしました」

 ラウンダースでは平日の夜に実施する練習にも、多くの保護者が参加している。練習の準備や片付け、打撃投手やピッチングマシンの補助など、その役割は多岐に渡る。さらに、日原監督は保護者が気付いた選手の特徴やコンディション、選手の課題改善につながる練習メニューの提案も参考にする。現役時代は社会人軟式野球チーム「NEC山梨」の軟式野球部で国体優勝を果たし、指導者としての実績を上げているにもかかわらず、保護者の視点や意見を決してむげにしない。

「保護者をグラウンドに入れることに否定的な指導者もいますが、私が保護者から吸収できることもあります。自分の考えが全てではありません。野球のルールは変わっていません。ただ、時代が変わればやり方は変わります。私と世代が違う保護者の考え方は興味深いです。保護者の方々も私の知識や経験を吸収しようとしていて、自宅での自主練習に生かしているそうです」

保護者提案の練習メニューを採用…選手を困惑させないルール徹底

距離感を保ちながらも選手をサポートする(写真は2024年)【写真:加治屋友輝】

 練習に参加する保護者は、日原監督の説明を選手と一緒に聞く。野球経験のない保護者も少なくないため、指揮官はティー打撃の際のボールの上げ方や打撃のチェックポイントを伝える。一方、野球経験のある保護者から勧められた練習方法を試すこともある。例えば、ゴロを捕る際にグラブと目の距離が離れてしまう選手には、帽子を口にくわえて捕球するメニューを取り入れた。帽子が視界を遮るため、選手は自然と顎を下げて目とグラブの距離を近づけたり、打球を前で捕ろうとしたりする効果があるという。

 保護者の練習参加は自由で、当番制はない。日原監督は「無理する必要は全くありません」と保護者に伝えている。参加希望者は歓迎しているが、1つだけルールも設けている。選手に指摘や助言をする前に、どんなことを伝えるのか指導者へ報告するように保護者に求めている。

「大人たちから矛盾したことを言われると、選手が困惑してしまいます。チームの方針と大きくずれた内容が選手に伝わることを避けるため、保護者の方々には私に一声かけるようにお願いしています。指導者を飛び越えて、保護者が勝手に指導するケースはありません」

 保護者の練習参加を認めると、その参加率が監督の選手起用に影響するという指摘もある。しかし、日原監督は「保護者が積極的に練習をサポートしたからといって、選手の評価は変わりません。選手が一番うれしいのはチームの勝利なので、勝つためにベストなメンバーを考えるだけです」と否定する。

 ラウンダースは、監督とコーチ2人の3人体制で指導している。小学1年生から6年生まで、選手の年齢や野球歴に合わせて練習するには、保護者の存在が心強い。指導者と保護者の関係には一線を引きながらも、近い距離感で選手を一緒にサポートする形は、今のチームに根付いている。

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