近鉄、オリ、燕でプレーした坂口智隆さん「目を切ることほど怖いことない」
少年野球でも苦手にしている選手が多いフライ。オリックスでゴールデングラブ賞を4度受賞した坂口智隆さんが17日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のオンラインイベントでフライの追い方と捕り方のポイントを解説した。フライから目を切って落下点に入る追い方は推奨せず、捕球は目より下の位置を意識することを勧めている。
坂口さんは近鉄、オリックス、ヤクルトで20年間プレーした。高校までは主に投手だったため、プロ入り後に転向した外野守備は苦労の連続だったという。指導者の中にはフライを捕球する際、落下点にいち早く入るため、打球から一度目を切る動きを勧める人もいる。しかし、坂口さんは「目を切るほど危ないことはないと思っています」と話す。
「打球から目を離して落下地点を予想する。そんな難しいことをできる選手はほとんどいません。目を切るのは苦手な向きのターンに切り替える時くらいでしたし、打球を見ないのは怖かったです」
坂口さんは打球から目を切って落下点へ走るよりも、打球を見ながらいかに早く走るかを追い求めた。イベントでは、参加者から「フライが前に落ちるのか、後ろに伸びるのか判断する感覚を身に付ける方法を教えてほしい」という質問があった。坂口さんは次のように答えた。
「正面に来るフライが一番難しいので、打球を横から見るようにします。半身になって打球を追ったり、中腰で止まって体を横向きにして打球を判断したりすると良いと思います。最初は、どんなフライでも前にバウンドさせて安打にする練習をします。ノーバウンドで捕らない練習を繰り返すと感覚がつかめてきます」
フライを捕る時のポイントはグラブの位置。坂口さんは「視界がグラブで隠れないように、目より下で捕る意識を持っていました。子どもたちは特に、低い位置でフライを捕る練習をすると自然に上手くなると思います」と話す。少年野球では顔の前で捕球する指導法は少なくないが、顔が上がって、いわゆるバンザイしやすいという。坂口さんは高いフライでも肩のラインで捕るように意識し、肩より上にグラブを構えないようにしていた。名手が徹底した基本は、少年野球の選手たちも今すぐに取り入れられる。