スキルコーチの菊池拓斗さん…渡米して変わった守備の考え方
米国や中南米の選手が見せるランニングスローや素手での捕球は、守備の“基本”だった。米国で野球指導を学んだスキルコーチの菊池拓斗さんが9日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のオンラインイベント「米国式・守備ドリル」で講師を務めた。守備における日本と米国の違いにスピードや動きのバリエーションへの意識を挙げた。
菊池さんは大学まで野球を続け、大学卒業後は高校の教員として野球部に携わっていた。しかし、野球指導のプロになりたいと渡米し、現在は米国で吸収した知識や練習方法を少年野球の選手らに教えている。
米国で野球指導を学ぶ中で、守備における驚きはスピードに対する意識だった。菊池さんはオンラインイベントで「フィールディングはスピードが命という点が日米で感じた一番の違いです」と明かした。
日本では捕球や送球のミスを少なくする動きを選ぶのが一般的で、菊池さん自身も渡米前は正確なプレーを心掛けていた。だが、米国ではアウトを取る動きを最優先にする。体の正面で捕球したり、悪送球を避けるステップを刻んだりするよりも、どれだけ早く捕球して送球するか。いかにアウトを取る確率を上げるかを重視するという。
例えばゴロを捕球する時、日本では小刻みに足を動かして打球に向かう指導を受けるのが一般的。一方、米国では可能な限り大きな歩幅でゴロに近づく。小さい歩幅で動いた方が正確に捕球できるが、一歩一歩は大きい方が打球を捕るまでの時間が短くなり、アウトを取る確率を上げられるためだ。
「米国ではグラブ操作、捕球からの握り替え、ステップとそれぞれの動きのスピードを高める練習をして、プレーのバリエーションを増やしていきます。試合では打球によって、どのプレーがアウトを取るためにベストか選択するわけです。エラーをしないための選択をする日本とは、考え方が違います」