
元楽天・土谷鉄平氏は中1で左打者転向…きっかけはイチロー氏の日本記録
プロ野球で首位打者を獲得するほどの選手でも、左打者への転向は簡単ではなかった。元楽天の土谷鉄平さんは中学1年生の時、当時オリックスでプレーしていたイチロー氏(現マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター)に憧れて左打者を志した。しかし、練習試合でクリーンヒットを放つまで1年を要するほど、思い通りにバットを振れるようになるまで時間がかかったという。苦労した経験があるからこそ、小・中学生に伝えられることがある。
中日、楽天、オリックスと3球団でプレーした土谷さんはシーズン打率3割を3度記録し、2009年には首位打者に輝いている。コンタクト率の高さを特徴とする打者だったが、意外にも中学時代は打撃に悩んだ。
土谷さんは中学に入学したタイミングで、左打ちへの転向を決めた。1994年に年間210安打の日本記録(当時)を樹立したイチロー氏に影響を受けたためだった。当時は今のようにYouTubeやSNSが普及していない。スポーツニュースでイチロー氏のスイングを見て、そのフォームを思い浮かべながら素振りを繰り返したという。
自宅での素振りを日課として、人一倍バットを振った。だが、思うように結果が出ない。特に、外角の球への対応に苦戦した。
「イチローさんのフォームをまねしたこともあって、走り打ちのような形になっていました。腰が引けてしまい、外角の球を強く振ることができていませんでした」
今でも忘れない記憶…左打者で初めてのクリーンヒット

一連の動きからは、イチロー氏の打撃フォームは一塁方向へ走りながらバットを振っているように見える。もちろん、体勢を崩された時などは、そうなるケースもある。だが、映像をよく見ると、バットをしっかりと振ってから、一塁へ走っていると気付いた。さらに、土谷さんは他の左打者の映像も参考にして、外角の打ち方を研究した。素振りではバットを強く振るだけではなく、スイングしてから一塁へ走り出すところまでの動きを繰り返した。
「左打ちに変えたばかりの頃は、とにかくスイングが弱かったです。まずは振る力が必要でした。それから、インパクトの瞬間に、いかに自分の力を発揮できるかをずっと研究していました。イチローさんをはじめ、プロ野球選手の足の使い方や体重移動などを参考にしました」
スイングの回数をこなしながら、様々な体の使い方を試していると、少しずつ自分なりの感覚が分かってくるという。全力でバットを振って生み出していたスイングの強さが、8割の力でも出せるようになる。それは、力を効率良くバットに伝えられている証と言える。
努力が報われたのは、左打者に転向して1年が経った頃だった。練習試合で右翼へクリーンヒットを放った。「あのヒットはうれしかったですね。今でも、その時のシーンを覚えています。最初は全く打てなかったですから」と振り返る。
土谷さんが憧れたイチロー氏をはじめ、右投げ左打ちの好打者は多い。今の子どもたちであれば、大谷翔平(ドジャース)や村上宗隆(ホワイトソックス)、近藤健介や柳田悠岐(ともにソフトバンク)らの名前を挙げるだろう。その中でも、土谷さんが小・中学生のお手本として勧める打者は、レッドソックスでプレーする吉田正尚外野手だ。その理由を説明する。
「吉田選手は動きに無駄がありません。タイミングの取り方も全てが理想的なスイングです。無駄のなさは投球を長く見る動きにもつながり、安打の確率を高くできます。また、上半身と下半身を別々に動かして、“割れ”をつくりながらタイミングを取っているので、小さな動きでも大きな力を出すことができます」
理想のフォームは吉田正尚…フィジカル強化も不可欠

吉田の打撃フォームには、小・中学生にも学びやヒントが多い。ただ、土谷さんは「注意も必要」と警鐘を鳴らす。
「吉田選手のスイングを支えているのはフィジカルの強さです。右打ち、左打ちを問わず、良い打者の技術を支えているのはフィジカル。まねをしたいのであれば、技術練習と並行して筋力トレーニングも不可欠です」
打撃フォームをまねるだけでは、期待するパフォーマンスを発揮するのは難しい。フィジカルの強さが伴わなければ、理想のフォームを体で表現できないのだ。フィジカルを強化するため、土谷さんは小・中学生には腕立てや腹筋など、自分の体重を使ったトレーニングを推奨する。中でも、スイングの強さにつながる背筋が鍛えられる懸垂は、効果的なメニューになるという。
プロの世界で首位打者を獲得する打者でも、左打ち転向は苦労の連続だった。バットを振るだけではなく、フィジカルを強化し、上達の方法を自ら考えられる打者でなければ成功には近づけない。
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