子どもの投球が「スライダー回転」するのはなぜ? 野球肘を誘発する投げ方の“角度”

巨人アカデミー創設に尽力…倉俣徹さんが明かす「スライダー回転」のメカニズム
「一生懸命投げようとすると、ボールにスライダー回転がかかってしまう」「肘が下がってアーム投げになってしまう」。少年野球の現場や保護者から寄せられる悩みの中で、最も多いのがこうした投球フォームの癖だ。8月31日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が開催したオンラインイベントに、巨人アカデミー立ち上げに尽力し、中学硬式チームの高崎中央ポニー監督を務める倉俣徹さんが登壇。難しい幼児・低学年の投げ方指導において、悪癖が生まれるメカニズムを解説した。
「トップの位置で肘の角度が90度よりも外側に開く『鈍角』の状態で投げると、腕が横振りになり、リリースで人差し指ではなく中指に力が入ってスライダー回転がかかってしまいます。これが、いわゆる“アーム投げ”や“肘下がり”の状態です」
腕が体から離れて横振りになると肘への負担も大きく、野球肘の原因にもなる。では、まだ体の使い方が未熟な未就学児や小学生に、どうやって正しい「縦振り」の感覚を伝えればよいのだろうか。
倉俣さんが提示する解決策は驚くほどシンプルだ。難しい専門用語や理屈は一切使わない。「トップの位置で、自分の頭を『トントン』と触ってから投げる。ただそれだけです」
ボールを握った手で、側頭部辺りをトントンと触る動作を入れることで、自然と肘の位置が肩の高さまで上がり、肘の角度が直角、鋭角に保たれる。その状態から腕を振れば、無理に意識しなくても腕は自然と縦振りになり、リリース直後からフォロースルーにかけて自然と内旋されるので、人差し指でボールを弾くことができる。
「頭トントン」で劇的改善…現場指導者も「明日から早速使いたい」

「中学生以上なら『肘を鋭角にして内旋させて……』という理論的な説明で納得できますが、小学生以下に理屈はなかなか届きません。トントンと音を出して体感させるだけで、子どもは自然と正しいフォームを真似できるようになります」(倉俣さん)
「頭トントン」の一言でフォームが劇的に改善するノウハウに、現場の指導者も驚きを隠せない。イベントにゲスト参加した少年野球チーム、市場ハリケーンズ(神奈川)の杉本諭コーチが「目線を下げて指導をしていたつもりですが、まだまだでした」と言えば、都筑ライムスターズ(同)の吉田勇介監督も、「野球をずっとやってきて理屈では分かっているのですが、なかなか落とし込めず、もっと優しい言葉で伝えてやるべきだなと痛感しました」と感銘を受けた様子。互いに「明日からの指導で早速使いたい」と声を揃えた。
「できるだけ専門用語を使わず、長く喋らない。子どもが地面に座って絵を書き始めたら指導者失格です。中学生は考える力があるので理解してくれますが、幼い年齢の選手は考えさせるよりも、まずは見せて真似をさせるほうがいいです」
その倉俣さんの言葉通り、まずは子どもが直感的に動ける言葉に置き換えて伝えながら、指導者がお手本を示す。それこそが、悪癖を直す最大の近道となる。
読んで理解したら、次は動画で習得する
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