「スポーツ少年団」は小学生だけのもの? 勝利至上とは真逆の“理念”「広く知って」

更新日:2026.08.03

文:高橋幸司 / Koji Takahashi

XFacebookLineHatena

スポ少は中学生以上も登録OK…益子直美本部長「今の時代に合う理念がある」

 少年野球でもお馴染みの「スポーツ少年団」だが、その成り立ちや理念を知る人は、どれほどいるだろうか。所属するのは小学生のイメージが強いが、あまり知られていない“年齢枠”もある。公益財団法人日本スポーツ協会(JSPO)副会長で、日本スポーツ少年団本部長を務める益子直美さんは「素晴らしい理念を知らずに、勝利至上主義で進んでしまっている団もある」と語る。真の理念と方針を理解すれば、公立中学部活動の地域移行・地域展開にも大きな力になるかもしれない。

 JSPOは7月15日に東京都内で、今夏日本スポーツ少年団が実施する事業についての会見を行った。その場で、益子さんは「スポーツ少年団に登録できるのは、何歳から何歳までと思われますか?」と問いかけた。

 現在、スポーツ少年団は全国に約2万4000団あり、団員数は約51万1000人に上るが、「スポ少=小学生が所属する」というイメージが強いだろう。ところが実際は、3歳から団員になることができ、小学生のみならず上は中学生、高校生、大学生…さらには大人まで登録が可能なのだ。

 協会が発行するガイドブックによると、1962年にJSPO(当時は日本体育協会)創立50周年事業として創設され、1964年の東京五輪を機に全国に広まったスポーツ少年団は、実は当初、12〜15歳の中学生世代を主な対象としていた。子どもから大人へと心身が成長する“思春期”の子たちを、スポーツを通じて育み、将来的に地域や社会のリーダーになれる人材として育てる。そうした理念で立ち上げられたという。

 それがいつしか、中学生は学校部活動と結びつき、スポ少は小学生の競技の場に。当初の理念にはなかった「勝利至上主義」や「理不尽な指導」も入り込んできてしまったのが実情のようだ。

 現役時代は女子バレーボールのトップ選手として活躍し、現在は「監督が怒ってはいけない大会」の活動も行う益子さんは、「スポーツ少年団の本部長となって4年目ですが、知れば知るほど、今の時代に合った素晴らしい理念を持っている。そのことをもっと広く知っていただきたいです」と語る。

スポ少はリーダー育成の場…地域移行・地域展開の受け皿にも

今夏で53回目を迎える日本・ドイツの交流事業の様子【写真:日本スポーツ協会提供】

 期待されるのが、現在全国的な課題となっている、部活動の地域転換の“受け皿”としての役割だ。「そもそも、指導者の皆さんも中学生の登録がOKであることを知らない方が多い」と益子さん。資格を持つ指導者不足や、財源や施設の問題、バレーボールでいえばボールの大きさやネットの高さが小中で異なるなど競技ごとの課題はあるが、宮城県のように、中学生の受け入れに動いて団員数が増えている県も実際にあるという。

 スポーツ少年団は「リーダー育成」にも力を入れている。15〜24歳の約100人の団員が参加するドイツスポーツユーゲントとの同時交流事業は、この夏で53回目になる。9月には、スポーツを楽しむ環境づくりや地域社会の課題解決ができる高校生年代の人材を育てる「シニア・リーダースクール」も東京都内で開催する。

「シニア・リーダースクール」では高校生年代の人材育成を行う【写真:日本スポーツ協会提供】

「ドイツでは(1972年の)ミュンヘン以来の五輪開催を目指して、大会運営ができる人材を育成しているそうです。日本のスポーツ少年団からも、五輪などの大きなスポーツイベントを仕切れるリーダーをどんどん育てたい」。そう語る益子さん自身も、将来的にスポーツ少年団を持つための「JSPO公認スタートコーチ(ジュニア・ユース)」の資格を昨年、取得したという。

「3歳から大人まで多世代が一緒になって、広い視野を育めるのがスポーツ少年団の素晴らしさ。私自身は『相手は敵』という偏った価値観の中でスポーツをしてきてしまったので、子どもたちには幅広い活動をしてほしい思いが強くあります。スポーツだけでなくゴミ拾いなどの地域活動から、誰でも参加できる団ができたらいいなと、密かに夢を抱いています」

 全国各地にあるスポーツ少年団は、野球界の人材を育てる土台にもなっている。改めて、令和の時代にマッチしたその理念と価値を見直してみるべきだろう。

読んで理解したら、次は動画で習得する

 少年野球指導に役立つ練習法や考え方を、実際の動きでも確認したい方は、First Pitchが連動している野球育成動画サービス「TURNING POINT」(ターニングポイント)をご活用ください。

 通常は有料会員向けの指導ドリル第1話を、無料会員向けにも公開中です。さらに無料登録だけで、250本以上の指導・育成動画が見放題。メールアドレス・Google・LINEで30秒ほどで登録できます。

無料登録して指導動画を見る
30秒で登録完了 メール・Google・LINEで登録可能

 小・中学生の育成年代を熟知する指導者や元プロ野球選手など専門家70人以上が、打撃・守備・投球・走塁・体づくりまで、上達につながる練習法を動画で解説しています。

■TURNING POINTの特徴を詳しく見る

トレンドワード