グラブマスター(職人)の阿部樹さん【写真:内田勝治】

グラブ作り体験を通じて「モノを大事に使ってくれるのでは」

 小学1年生の大木一之臣くんは、グラブ作りの工程を夏休みの自由研究テーマにした。「紐を通した後に、針金を引っ張るところが難しかった。紐を結んだりするのは楽しかったです」と声を弾ませた。

 父の倫太郎さんは「自分でグラブを作る経験をして、実際に作っている人がいるということが分かったと思う。モノを大事に使ってくれるのではないかと思います」。リバースの取り組みについては「我々が小さい頃、グラブは使い捨てという感覚があって、再生なんていうことは考えたこともなかった。凄いことだと思います」と棚に並んである再生グラブに目をやった。

 物価高の影響はグラブなどの野球用具にも及ぶ。このイベントでも「自分たちが子どもの頃よりも道具代は高くなった」という声が多く聞かれた。金銭面の負担が増し、野球をやりたくても、もしくは続けたくても断念せざるを得ない人も少なくない。

 道具を作ってくれる人がいて、お金を払ってくれる人がいる。リバースのイベントを通じて、グラブ一つが自分の手元に届くことに感謝し、道具を大切にする心を持つ子どもが増えていけば、野球界は「持続可能」な、よりよいものになっていく。

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