空になる炊飯器…唐揚げ2キロも「足りるかな」 “底なし胃袋”が気になる野球母の日常

息子の友人たちに振る舞った食事…気づいた“普通の量”とのズレ
毎日のように空になる1升炊きの炊飯器。お肉はキロ単位で買うのが基本。野球少年を育てていると、いつの間にか世間一般の「食事の量」がわからなくなりませんか? 3人の野球男子を育てる母親であるライターが、息子の友人たちを泊めた際に気づいた「我が家の食のバグ」について綴ります。底なしの胃袋に振り回されながらも、空っぽのお皿に達成感を覚える、愛おしくもドタバタな食卓の日常をお届けします。
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先日、First-Pitchのポッドキャスト番組「野球ママへの応援歌」で、1600ミリリットル入る特大弁当箱を紹介した際、「お茶碗約9杯分のご飯が入る」という説明に、思わず「すごい!」とテンションが上がっている自分に気づいた。
野球少年3人を育ててきていると、育ち盛り男子の底なしの食欲に振り回される毎日。気づけば、家には特大の弁当箱や大容量のタッパーがずらりと並び、それが当たり前の光景になっている。
“食べる量の感覚”が世間とは少しズレているのかもしれない――そう実感したエピソードがある。我が家に中学生の次男の友人が4人泊まりに来た時の話だ。
中学男子が集まるとなれば、まず気にするのは寝る場所より食べる量だ。布団の数を確認する前に冷蔵庫の中身をチェックする。それが野球少年3人を育ててきた母の習性である。
その日も、いつもの感覚で夕飯の準備を始めた。ご飯は1升炊き。唐揚げは2キロ。ピーマンの肉詰めはひき肉1キロ分。ポテトサラダは大きなボウルに山盛り。さらに野菜サラダと味噌汁も用意。もちろん家族のおかずは別である。
それだけ作っておきながら、私の頭の中には「足りるかな……」という不安が残る。長年、3兄弟の胃袋と向き合ってきた結果、私の中から“普通の量”という感覚はすっかり消え去ってしまっている。
週末ともなれば、朝から8合の米を炊いて3人分の弁当作り。朝食用、補食のおにぎり用も含めれば8合も見る見るうちに減っていき、夕方に炊飯器を開けて「あっ、ご飯ないや……また炊かなきゃ」とつぶやくのが、私の日常。
そんな生活を送っているため、息子の友人たちが来ると聞いて、「男子が4人増えるなら」と、単純にいつもの倍を作ればいいかと深く考えずに準備してしまった。
「普通の量」がわからない毎日も、案外悪くない
ところが……実際に食事が始まると予想外の展開になった。
もちろん男子たちはよく食べた。唐揚げも人気だったし、ピーマンの肉詰めも順調に減っていった。しかし、恐れていた「全然足りない!」という事態にはならなかった。むしろ十分すぎた。
次第に大食いチャレンジのような雰囲気になり、鼻をフンフン鳴らしながら必死に料理を口へ運ぶ子も。逆に申し訳なくなり、「無理しなくていいからね。残しても大丈夫だからね」と声をかけたほどだった。
食後、炊飯器の中にはご飯が残り、余った唐揚げと大鉢のポテトサラダは翌日へ持ち越しに。ちなみにデザートまでたどり着いたのは、わが息子だけだった。
振り返れば、今は大学生になる長男が、中学生になった頃から感覚がおかしくなり始めた気がする。
スーパーで豚こま切れ肉を見ても、300グラム入り1パックでは話にならず、2パック買っても「野菜でかさ増ししないとなぁ……」と考える。鶏もも肉は1人1枚が基本なので、家族5人分となると1キロパックでも足りない。カレーを作れば炊き出しレベルの大鍋になるし、レシピ本の「4人分」を見れば、無意識に「うちは倍かな」と計算している。
もはや、世間一般の“普通の量”がわからない。でも、そんな毎日も案外悪くないのかもしれない。山盛りの唐揚げがあっという間になくなる爽快感も、1升炊きの炊飯器が空っぽになる達成感も、母にとって今だけのものなのだから。
ただ不思議なことに、大学進学で長男が家を出た後も、作る量があまり減らない。いなくなった長男の分を、いつの間にか小学生の三男が食べるようになったからだ。子どもの成長とは実に恐ろしい……。
今日も我が家の食卓はにぎやか。この調子では、“普通の量”を思い出す日はまだまだ先になりそうだ。
〇石井愛子(いしい・あいこ)情報・ニュース番組から、Jリーグのピッチリポーターや千葉ロッテマリーンズの応援番組など、フリーアナウンサーとして幅広く活動。ライターとしても、スポーツや子育て支援分野を中心に取材、原稿執筆、イベント企画運営などを担当。五輪特設サイトでの執筆や、「bjリーグ」オフィシャルライターのほか、スポーツ関連書籍の執筆を手掛ける。現在は野球育成解決サイト「First-Pitch」での執筆や、同サイトのポッドキャスト番組「野球ママへの応援歌」のパーソナリティーも務める。
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