イチロー氏、難しい現代指導に助言「怒っちゃ負け」 感情の暴発抑止へ「テクニック覚えて」

イチロー氏が都内のイベントに参加…指導者へ「論理的に、冷静に叱って」
子どもへの指導は「怒る」より「叱る」方がいい。マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏は6月27日、東京都新宿区のMUFGスタジアム(国立競技場)で行われた体験型スポーツイベント「第2回 イチロー DREAM FIELD DAY(ドリームフィールドデイ)」に参加。指導論にも話題が及び、“イチロー流”の指導法を明かした。
「指導は今、凄く難しい。指導者はみんな悩んでいます」。鉄拳制裁が当然のように行われていた一昔前とは違う。言葉の使い方にも気を使う時代である。「僕の感覚でいうと、怒らない。怒っちゃダメです。その代わり、叱るんです。舐めた子どもは叱る。舐めた大人も叱る。怒っちゃ負けです。それをコントロールしたい」。
似ているようで、違いがある。一般的に「怒る」は不快感や憤りなどの感情が前面に出る行為。「叱る」は相手の誤りを論理的に指摘し、成長や改善を促していく。
「感情的になったら負け。子どもにも伝わらないし、ロクなことがない。どうしてそうなったのかを子どもは知りたいんです。論理的に、冷静に叱ってほしい」
感情のコントロールは現役時代から意識してきた。「怒りの感情も、喜びの感情もグッと抑えます。今は出ますけど、選手の時に出していたら162試合やってられません。隙が生まれちゃいます」。どんな時も喜怒哀楽を出さない。2009年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の韓国との決勝戦、延長10回に決勝打を放った際も表情を変えなかったように、常に平常心を保つことを心がけてきた。
心落ち着かせ、切り替えるために…現役時代に実践したルーティン

「次のプレーを考えないといけない。ヒットを打って嬉しいけど、切り替える」。人間だから興奮を抑えられない時もある。そんなケースでは、感情を抑えるための「テクニックがある」という。「塁に出ると必ずバッティンググラブのバンドを外す。それからもう一度はめる。それでリセットするんです」。心を落ち着かせ、切り替えるためのルーティンである。
簡単ではないが、誰でも工夫はできる。だから「感情をコントロールするテクニックを覚えてほしい」と訴える。
もう一つ、力を込めるのが「愛情を持った指導」だ。「褒める時も叱る時も、愛情を持って接してほしいと思います。愛情さえあれば、子どもたちは必ず感じてくれるでしょう。理由があるからこうなっているんだと理解できれば、自らを高めることができます」。愛情がある指導は、さまざまな効果を生むのだ。
そのために必要なこととして「いつも子どもたちを観察しないといけない」と説明。「子どもたちの人数が多くて大変ですけど、常に目を光らせないといけない。子どもたちの変化を見極めるために必要です」と続けた。
衣料品メーカー「ユニクロ」の協力で、次世代の夢を育む活動として実施された今回のイベントには小中学生165人が参加。指導者向けのプログラムも実施された。キャッチボールやティー打撃の実技披露や指導も行い、子どもたちに「おおっ、うまいね!」「そう! いい感じだよ」など愛情たっぷりの言葉を送り、笑顔が広がっていた。
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