「本当にドラフト1位?」 野手転向危機から一転…怒声罵声を防ぐ“数十倍の学び”

更新日:2026.03.20

文:First-Pitch編集部

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元巨人スコアラー・三井康浩氏が説く…個性に合わせた身体の使い方と指導論

 投手として入団当初は「これが本当にドラフト1位?」と首をかしげられるほどだった巨人の斎藤雅樹氏。野手転向すら囁かれた彼を、球界を代表するエースへと変貌させたのは、監督の鋭い観察眼だった。巨人やWBCでスコアラーを務め、数々の名選手を支えてきた三井康浩さんは、選手の長所を伸ばすための「指導者の学び」の重要性を説く。【記事下の動画を参照】

 斎藤氏が劇的な変化を遂げた理由は、当時の藤田元司監督による指摘があった。ブルペンでの動きを見た監督は「腰の回転、使い方が横回転だ」と見抜き、サイドスローへの転向を打診した。すると、それまでとは別人のようなボールを投げるようになったという。その後、最多勝5回、沢村賞3回、11試合連続完投勝利など、1980〜1990年代を代表するエースとなったことはいうまでもない。

 そうした経験から、指導において大切なのは「必ずこう投げなさい」という型にはめないことだと三井さんは語る。10人いれば10通りの身体の使い方があり、「その子に一番に合った身体の使い方に寄せた指導」が大切。無理な動作を強いるのではなく、本来持っている個性を引き出す視点を持つ。画一的な指導では、子どもが持つ本来の伸びしろを潰してしまう恐れがあるからだ。

 声掛けも工夫が必要だ。「ここが悪かった」と欠点ばかりを指摘すると、子どもは悪いイメージに縛られてしまう。三井さんは「今日はここが悪かったけど、お前はもっとこういう良いところがある」と伝え、長所を伸ばす方向へ導くことが成長の近道だと語る。ポジティブな面に意識を向けさせることで、子どもは精神的余裕を持ちながら、自分の武器を磨ける。

 もちろん、柔軟な指導を実践するためには、教える側の努力も必須。「教わる側の何十倍も勉強」し、引き出しを増やし続けることが不可欠だ。知識が豊富になれば、様々な選択肢を試す心の余裕が生まれ、怒声・罵声に頼ることもなくなると三井さんは言う。それが、“第2の斎藤雅樹”を生み出す第一歩となるはずだ。

【実際の動画】巨人の大エースはなぜ覚醒できた? 三井康浩氏が振り返る、名将の卓越した“観察眼”

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