
中学軟式の神奈川・相陽クラブは春の全国大会でベスト4入りを果たす
部活動からクラブ化になったことで選手たちの“充実度”は大きく変わった。3月下旬に行われた中学軟式野球の全国大会「文部科学大臣杯 第16回全日本少年春季軟式野球大会ENEOSトーナメント」で、ベスト4に入った神奈川・相陽クラブ。悲願の全国制覇は強豪私学の壁に阻まれたが、内藤博洋監督は「思い切って野球ができる環境がベスト4にいけた要因の1つ」と、練習環境の変化による効果を語った。
春の全国大会で“爪痕”は確実に残した。相陽クラブは準決勝で作新学院中に1-15で敗れはしたものの、計5試合25得点と、強打を武器に打ち勝つ野球を見せつけた。大会前にエース右腕・松本颯志(3年)が故障する不運もあったが、内藤監督は「日本一をつかめるまで、あと1歩いかない。触れられそうで触れることができない、まだ壁を感じます」と振り返っていた。
今大会でベスト4に名を連ねたのは星稜中(石川)、作新学院中(栃木)、上一色中(東京)と、相陽クラブ以外は全て部活動チームだった。同クラブも2023年7月までは相模原市立相陽中の野球部として活動していたが、同年8月に内藤監督ら複数の教員でクラブを立ち上げ再始動。その背景には、国が進める教員の働き方改革、部活動のガイドラインなどで練習時間が確保できないことにあった。
指導者不足、早くなった完全下校時間……。短いときには1時間に満たない練習で終わることもあったという。野球に限らず、教員が部活動に携わることにはメリットもデメリットもあるが、内藤監督は「思い切って野球をやりたい子には、満足いかない制度になってきているかもしれない」と考えるようになったという。
毎朝のミーティング前で選手たちに伝える言葉「どっちの方が良い練習か、それで結果は変わるよ」

そこで野球部を地域クラブ化し、子どもたちがより全力で取り組める環境を作ることに着手。クラブ化して得られたメリットは「思い切って野球ができる」「クラブが選択できる」の2点だという。
「部活動は自分の学区・地域に行かないといけないが、クラブになって、うちのチームでやりたい子が(他学区からも)入れるようになった。部活の時から(相陽中に)転校してまでやりたい子がいた。それはちょっと考えないといけないと思っていました。自らが選択でき仲間の輪も広がったことは、とても良いことだと考えています。練習時間の面でもある程度の制限はありますが、以前に比べると確保はできています」
もちろん、課題もある。選手たちは様々な地区から集まるだけに、全員がそろって練習できる機会は限られている。ただ、内藤監督が一番チームに求めているのは“質”と“量”だという。
「私学の設備、練習時間には敵わないかもしれない。もし追い抜かすことがあるなら、練習内容を上回っていることが必要。毎朝のミーティングは『今日も星稜さん、作新さんたちは練習やっているよな? どっちの方が良い練習か、それで結果は変わるよ』と伝えています。それを見るとまだ1、2歩足りてないということなので、より意識を高めていきたい」
冬場に厳しいトレーニングを積み戦った全国の舞台で、選手たちは着実に成長した姿を見せた。自信と課題が見つかったベスト4を糧にし、夏は悲願の頂点を目指していく。
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