威圧的指導「自分たちで終わらせないと」 大人が学ぶべき、怒声なき子の“教え合い”

文:喜岡桜 / Sakura Kioka

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「大人の怒声・罵声ゼロ」…多賀少年野球クラブ・辻正人監督が語る威圧的指導の根本

 スポーツとアウトドアを通して子どもたちの心を育むことを目的とした学童野球交流大会「ロゴスランドカップ2024」(主催:株式会社スポーツバックス)が、3~4日の2日間、京都府城陽市の鴻ノ巣山運動公園などを舞台に開催された。野球の試合のみならず、レジャー施設「ロゴスランド」でアウトドア体験やバーベキューもできる、子どもも保護者も楽しめる大会として人気を呼び、昨年に続き2回目。今年は昨年から倍増となる全国各地(富山・石川・滋賀・京都・奈良・岡山・徳島)から9チーム、200人近い子供たちが参加し、盛り上がりをみせた。

 また、この大会は「大人の怒声・罵声ゼロ」を特別ルールとするのも大きな特徴だ。選手に対して暴言を発し、威圧的な態度をとる――。そんな指導の根絶が叫ばれる昨今、子どもたちを導く立場にある大人たちには、古い体質のアップデートが求められている。

 だが、そもそもなぜ、そのような指導が根強く残っているのだろう。今大会で優勝した滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督は、根絶のヒントは、子どもたち同士が教え合う姿にあると語る。

 選手の主体性を重視した「ノーサイン野球」で2018年、2019年の連覇を含め3度の全国制覇を果たし、現在は園児から小学6年生まで約130人が在籍する同チームでは、選手同士による“教え合い”が行われている。野球の本質を知り、戦略や戦術を覚える“座学”が伝統だが、まだ野球を始めたばかりの下級生には難しいため、「ぼーっとしていますよ」と指揮官。そんな1年生に指導者だけでなく、上級生も寄り添うのだ。

「座学の内容を5、6年生になると理解できているので、紅白戦とか、下の子たちと一緒に練習するときに、必要な場面で教えてくれています」。野球はルールが複雑で、大人にとっても難しい部分があるし、子どもにとってはなおさら。それでも、下級生を指導する上級生から「なんでわからへんねん!」と、きつく当たる言葉や、罵声や怒声は聞いたことがないという。

“指導役”を楽しむ子どもたちの姿…怒声・罵声は「スポーツ本来の楽しみ奪う」

「ロゴスランドカップ」はアウトドアでのバーベキューなど親子で楽しめる大会【写真:喜岡桜】

 逆に、指導をしているときの子どもの表情は明るい。大人から「あの子に教えたって」と頼られると、任せられた選手はうれしそうな様子を浮かべ、張り切って指導に向かうそうだ。

「子どもは基本、教えたがりですよ」という辻監督は、指導者から言われたことをインプットするだけでなく、自分の言葉で整理しアウトプットすることで、さらに知識を「頭の中に叩き込む」ことにもつながると語る。そのため同級生の間でも、気付いたことは教え合う。

 今大会中も、選手同士で自発的に直近のプレーを振り返ったり、アドバイスを送り合ったりする姿が見られた。思うようなプレーができなかった選手がいると、監督がマンツーマンで指導するのではなく、他の選手へ「教えてあげて」と声をかけたり、改善のヒントを与えて子どもたちだけで話し合ったりすることも。選手同士で真剣な表情で言葉を交わす場面もあった。

 蓄積した知識を生かし「いろんなプレーの中で考えることが、競技として面白い」のが野球のはずだ。しかし、選手を駒のように扱う威圧的な指導は、そんなスポーツ本来の楽しみを奪ってしまう。辻監督も、かつては厳格な指導を徹底していたそうだが、選手が委縮するような言葉遣いがまかり通っていた頃に子どもだった「我々の世代に(不適切な言動が)染み付いて、残っているだけ」と自戒の念を込めて語る。

「昔風な指導は悪いってわかったんだから、自分たちで終わらせないと。子どもたちにまで受け継ぐ必要はないでしょう。今、指導者をしている世代こそ、改善する意識を持たないといけません。これから生まれてスポーツする子らには、全く(威圧的要素は必要)ありませんから」

 大好きな野球を教わることも、教えることも楽しむ子どもたち。その姿勢から、逆に学ばなければいけないのは大人たちだ。

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