
春の全国王者・桐生第一中…“出力”を出せる体を作るメニューとは
野球において、体重は打撃や投球でパワーの源になる重要な要素だ。3月に行われた中学軟式野球の全国大会「文部科学大臣杯 第17回全日本少年春季軟式野球大会ENEOSトーナメント」で、桐生第一中(大会当時は「桐生大附属中」、4月に校名変更)が初優勝を収めた。齋藤健子郎監督は、食事管理を徹底し体重を増やしたことが、“出力”を出せる土台を作り、スケールの大きい選手育成に繋がったと語る。
桐生第一中の選手は、白米を1食で1キロ以上食べることを目標としている。これにより、エースの野田晟太投手(3年)は入学時から体重が20キロ増え、球速は30キロ以上もアップした。桐生第一中・高生の寮で日々メニューを考える花房純也さんは「タンパク質に関しては、プロテインとか肉を言わなくても食べるので、それ以外の栄養を意識して食べてもらうようにしています」と工夫を語る。
中でも野球部の選手には「大体夏に大きな大会が多いので、冬の間に体重を増やしておいて、どうしても体重が落ちる夏にピークを持って来られるようにするといいよと伝えています」と、複数のスポーツで成果を上げる学校ならではの配慮がある。
一方で、量を食べられない子におすすめなのが、“分食”だ。「中高生は食べることがストレスになると食べたくなくなってしまう年代ですから、食べられなかったら小さいおにぎりにして、1時間ごとに5、6回に分けて食べるような形も勧めています」。
さらに「実際は1回で消化しきれない部分がありますし、消化しきれないものが胃の中にあるままだと、寝ている間も消化に体力を使って、かえって疲労が溜まってしまうこともあります。食べるのは寝る3時間前までにしてきちんと睡眠を取って腸内環境を整えるのも、成長期には大事なことです」と、休息の重要性も訴える。

そして、保護者が頭を悩ませるのが、偏食だ。桐生第一中でもやはり好き嫌いのある子はいるという。そんな時、花房さんは“伝え方”を大切にしている。
「食べなさそうなメニューの時は、食堂の前のボードに栄養素と“体がどう変わるのか”を書くと、嫌でも食べてくれるんです。『もうちょっと頑張ればプロに近い存在の子』たちだとは思うので、そこは自分の頑張り次第で進路が変わるんだよっていうことは年中言うようにはしてますね」。
食卓を彩る人気メニュー…強豪校ならではの理由も

中学生の食堂では野球部だけでなく、サッカー部、バスケットボール部と一緒に和気あいあいと食事を取る。取材日は金曜日。週末の試合や練習でエネルギーになる、炭水化物を取りやすいハヤシライスだった。ここにも花房さんの工夫が見える。
選手たちに好きなメニューを聞くと、「ハンバーグ」「唐揚げ」「ミートソースパスタ」といった定番メニューが挙がり、1位は「卵でとじたカツ丼」。その他にも、ひもかわうどん、モツ煮、じゃじゃ麺、きりたんぽ、タコライスのような郷土料理も並ぶという。
「スポーツをするために県外の色んな地域から選手が集まってきますし、部活が忙しくて、地元に帰るにも帰れない子たちが多いので。なるべくご当地メニューを自分の作れる範囲でやってあげようかなと始めたのがきっかけです」と花房さん。成長期の食事の目的は、栄養摂取だけではない。選手たちが集中してスポーツに打ち込める環境作りが、大きな成果につながったに違いない。
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