滋賀・多賀少年野球クラブ辻正人監督…競技人口減少は「自然現象」
野球人口減少の問題は、間もなく勝負どころがやってくるという。楽しみながら上手くなる指導法で日本一も果たした滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督が2月19日、埼玉県ベースボールサミットのトークショーに出演。野球の競技人口減少は「自然現象」と捉え、野球の価値を変えて親子に選んでもらえる競技にする必要があると訴えた。
西武の本拠地・ベルーナドームで開催されたベースボールサミットは、西武をはじめ埼玉県内の野球団体が加盟する埼玉県野球協議会が主催した。肩肘の無料検診やグラウンド開放に加えて、野球人口減少を食い止めるヒントを探るトークショーも開催。多賀少年野球クラブの辻監督も出演者の1人として招かれた。
野球人口減少の提言を求められた辻監督は、まず「自然現象」と強調した。少子化によって子どもの絶対数が減り、さらに子どもたちが過ごす時間は多様化して野球以外の選択肢が増えている。競技人口が減るのは避けられない状況に「私も現代の子なら、小学生で野球をするか分かりません。怒声罵声や体罰が30年前からなくなっていたとしても、野球人口は減少していたと考えています」と話した。
自身も滋賀・近江高校でプレーし、チームを率いて35年になる辻監督は、野球に求められる役割が時代とともに大きく変化したと感じている。小学生は野球をするのが当たり前だった頃、保護者は少年野球チームに子どものしつけも求めていたという。辻監督は「父親たちは休みなく仕事をしていました。今のように便利な家電や冷凍食品がない中、母親たちはパートをしながら家事に追われていました。家庭で担う教育をスポーツの指導者が担っていたわけです」と語る。
野球で身に付く先を読む力や考える習慣…保護者に響く付加価値
だが、今の時代は働き方改革やワークライフバランスが浸透し、育児にかける時間を確保できる家庭が増えた。少年野球チームに厳しいしつけを求めていないのだ。保護者が子どもに野球をやらせたいと思うには、別のメリットが必要になると辻監督は考えている。
「野球は次のプレー、次の次のプレーを考えて瞬時に判断し決断するスポーツです。子どもたちがベンチの監督を見て指示を仰ぐのではなく、先を読む力や考える習慣をつけなければいけません。その力が社会でも生きると感じた保護者は、子どもを少年野球チームに預けようと思うはずです」
実際、辻監督は10年ほど前から選手にサインを一切出さない「ノー(脳)サイン野球」を実践している。チーム方針に賛同する親子は年々増え、今では所属選手が100人を超えている。
多賀少年野球クラブは野球人口減少とは無縁の状況だが、辻監督は競技人口の減少が間もなく下げ止まると予想する。そして、その時に備えて必要な要素が2つあるという。
「保護者にとって野球が選択肢になるように、今までの価値を変えていかなければいけません。もう1つ大切なのは、今の指導者が昔の指導者を否定しないことです。相手チームも審判さんも観客の皆さんも、野球に携わる人たちは誰もが仲間。批判からは何も生まれません」
少年野球チームに入ってプロになるのは、ほんの一握り。知識や技術以外に何を身に付けられるのか。子どもたちや保護者に提供できる野球の価値が、競技人口の増減を左右する。
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