8番打者の柵越え弾に「運がある子」と確信 少年野球全国V監督が初戦で行った施策

文:木村竜也 / Tatsuya Kimura

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多賀少年野球クラブ・辻正人監督が抜擢した8番打者、豪快柵越えアーチでチームに勢い

 多くのプロ野球選手を輩出してきた小学生の全国大会「高円宮賜杯第42回全日本学童軟式野球大会 マクドナルド・トーナメント」は9日、東京・町田の小野路球場などで1回戦が行われた。石橋クラブ(栃木)との初戦を5-4で制した多賀少年野球クラブ(滋賀)の辻正人監督は多くの選手、ポジションを入れ替えた。「うちの選手は能力はそんなに変わらない」というチームを作ってきた自負がある。子どもたちに多くの経験をさせる狙いだけでなく、大会を勝っていくための“見極め”の時間でもあった。

 1点差という厳しい戦いを終え、辻監督は溢れ出る汗を拭った。これまで2018、19年に大会を連覇するなど過去3度の頂点に立っている指揮官は、一人でも多くの子どもにこの全国の舞台へ立たせたい思いで初戦に臨んでいた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、大会が行われる東京に連れてくることができなかった選手もいた。選手起用が難しい初戦だった。

 そんな中、指揮官の期待に応えた選手がいた。普段はベンチスタートが多いがこの日、スタメンに抜擢された8番、隼瀬仁翔くん(5年)だ。1点リードの2回2死二塁の初打席。思い切り振り抜いた打球は、左翼の柵を越える2ラン。辻監督は「運がある子だって思いました」と、全国の舞台でいつも以上の力を発揮した活躍を喜んだ。

「公式戦の中で、力を発揮できる子とそうではない子、練習以上に力を発揮する子というの(傾向)が出るんです。ですから、1回戦というのはそれを選択する時間なんです」

【次ページ】1回から3回まですべて違う投手が登板、誰が出ても戦力は変わらないチームづくり

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