反省なき投手が「打者を抑えられるわけがない」 プロ野球への夢を阻んだ“習慣の差”

野球指導者・松坂大輔さんが店名「GroWin」に込める思い
「考える力」の必要性が説かれて久しいが、抽象的にも思えるその能力を、どう鍛えるべきなのか。岩手・盛岡市のトレーニングジム「GroWin」で野球を指導する松坂大輔さんも、「メカニクスやフィジカルも大切ですが、それとセットで『考える力』が大切です」と力を込める。店名はGrowth(成長)とWin(勝利)を組み合わせたもので、「うまくなるだけでなく、自分の力で勝利をつかみ取れる選手へと成長してほしい」との思いが込められている。「考える力」はまさに、勝利をつかみ取るために欠かせない能力だ。
「今の時代、SNS上に野球がうまくなるための情報がたくさんあります。ただ、それをやれば全員が150キロを投げられるかというとそうではないですし、150キロを投げられるからと言って必ずしもプロ野球選手になれるわけではない。プロに行ってから活躍できる人はトライアンドエラーの質が高くて、反省を生かす取り組みがしっかりしている。僕が一方的に教えて選手がその通りやるのではなく、選手とともに構築する場所にしたいんです」
この「トライアンドエラー」こそ、「考える力」を養う第一歩。松坂さんは基本的にマンツーマンで指導を行い、選手との会話に多くの時間を割く。初回のレッスンでは約30分かけて会話を交わし、2回目以降は前回からの「反省」を聞く。その内容を松坂さんはホワイトボードに、選手はノートに書き出し整理する。そうやってフィードバックを繰り返すことで、自然と「考える力」が身につく。
ハナマウイのチームメートとの違いは「考える量」と痛感
松坂さんが「考える力」の重要性に気づいたのは、クラブチームのハナマウイに在籍して間もない頃だ。「師匠」である中山慎太郎・投手コーチに指導を受ける中で、それまでの「考えられていなかった自分」を認識。一方、平野暖周(現・三菱自動車倉敷オーシャンズ)、川口冬弥(現・福岡ソフトバンクホークス)両投手ら突き抜けた活躍をするチームメートは「考える量が尋常ではなかった」という。
一関学院高、青森中央学院大で経験を積み、多くの出会いがあったハナマウイで成長を遂げたが、目標のプロ野球選手にはなれなかった。「自分で考える習慣をつけることの大切さに気づいた時にはもう遅かった」と現役時代を振り返る松坂さんだからこそ、現在の指導においてはその習慣づけを徹底している。小中学生の年代が相手でも、コミュニケーションを深めることには余念がない。
「自分自身の行動を反省できない人が、マウンド上で相手バッターを抑えられるわけはない。考えられる選手は、1つ教えたことを2にも3にもして成長し、勝利をつかみ取ります」。松坂さん自身ももがき続けた現役時代の「反省」を生かし、一人ひとりと全力で向き合う。
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