ベンチの”騒音”が高評価? 独自ルールで行動力強化…小学生から育む「スケール感」

公開日:2025.04.24

文:橋本健吾 / Kengo Hashimoto

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DeNA・筒香が設立した「和歌山橋本Atta boys」…代表を務める兄・裕史さんの思い

 野球を始めたばかりの子どもたちには、どのような指導者が必要なのか。DeNA・筒香嘉智外野手が故郷の和歌山に設立した少年硬式野球チーム「和歌山橋本Atta boys(アラボーイズ)」では、“スケールの大きい”選手育成を徹底している。First-Pitchでは野球などのスポーツ界で活躍する専門家・トレーナーに子どもの「運動神経向上」をテーマに取材。代表を務める筒香の兄・裕史さんに、ユニークな小学生指導について話を聞いた。

 ボーイズリーグに所属する「Atta boys」(小学部のみ)は、筒香が2億円の私費を投じて故郷に建てたスポーツ施設「TSUTSUGO SPORTS ACADEMY」を拠点として活動している。2023年4月の設立から2年が経過。野球界の未来を担う球児たちは、個性を伸ばす指導を受け成長し続けている。

 代表を務める兄・裕史さんは「試合での勝敗をみれば、まだ負ける方が多い。ですが、『この子たち、面白くなってきたな』と思える形は少しずつ見えてきました」と手応えを口にする。チーム理念でもある「自ら考え、行動する力」は徐々に浸透し、形になってきた。

 ゲーム形式の練習では、独自の“採点法”で選手たちの行動力を上げている。例えば、打撃ではボールを外野の定位置まで飛ばすと1点、騒音計でベンチ内外の声を測定し大きい方に1点を加えるなど、ユニークなルールを採用。逆に道具が汚れている、守備位置までダッシュしない、などで1点減といったプレー以外の部分も大切にしている。

ダンス講師を招き、選手たちはブレイクダンスで汗を流すことも

「遠くに打球を飛ばす、活気ある声も必要。どうすれば1点を取れるか、作戦面なども自分たちで考えて動けるようになってほしい。試合に勝つことだけを考えれば、いつもエースが投げて、バントや盗塁を絡めて、守備を固めればいい。それを優先すべきか、試合で個々の力を100%発揮して向かっていくことが優先なのか。私たちは後者の考え方だと思います」

 ただ、勝利を求めることは「否定しないですし、むしろ勝ちを目指すことは必要」と裕史さん。そこに至る過程を大切にし、子どもたちが野球を楽しんで、好きになることが重要ということだ。技術以外の部分にも注視し、音楽に合わせた「ダンストレーニング」を導入するなど、体を扱う能力を向上させている。

 月に1回はダンス講師を招き、子どもたちはブレイクダンスで汗を流す。裕史さんは「まだ完璧な整合性、エビデンスはないですが」と前置きしつつ、「打撃では投手のモーションに合わせるなど、リズム感は野球に繋がると思います」と、工夫を凝らした練習内容で子どもたちの成長を後押しする。

 裕史さんは現在開催中のイベント「運動神経向上LIVE」第4夜に登場予定。技術だけでなく体の操作性も重視する「Atta boys」の、固定観念に捉われない育成方針は一見の価値がありそうだ。

「運動神経向上LIVE」4月25日(金)まで開催中…見逃し配信もあり

 Full-Count、First-Pitchと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、4月25日まで5夜連続でオンラインイベント「運動神経向上LIVE」を開催中。足の速さなどの俊敏性を身に付ける方法は? バットやボールの扱いをうまくするには? 選手や指導者、保護者が知りたい、野球などのスポーツ上達に必須の能力向上につながる練習法を、豊富な実績を持つ指導者・トレーナー陣がアドバイスします。参加費は無料。出演者などの詳細は以下のページまで。

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