球速アップで伸び悩む投手は「一緒に動く」 現代生活が生み出す投球の“問題点”

文:川浪康太郎 / Kotaro Kawanami

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元楽天投手・土屋朋弘氏が提唱…投手開花の鍵握る「体の動かし方」と「力の入れ方」

 球速アップに必要なのは「力の入れ方」を知ること。体をどう動かせば出力が生まれるのか――。元楽天投手で、現在はコーディネーショントレーナーを務める土屋朋弘さんは、「今は勝つために『技術』に走りがちですが、先を見据えるという意味では『体を動かす』ことができないといけない」と話す。First-Pitchでは野球などのスポーツ界で活躍する専門家・トレーナーに子どもの「運動神経向上」をテーマに取材。土屋さんは、体の動きのバリエーションを増やすコーディネーショントレーニングを通じて、「体を動かす」術を伝授している。

 土屋さんは現役引退後、トレーナーを目指して資格を取得する過程でドイツ発祥のコーディネーショントレーニングと出会った。コーディネーショントレーニングは、自分のイメージ通りに体を動かすための“7つの能力”を鍛えるトレーニングで、土屋さんは2021年に仙台市内に「土屋教室」をオープンし、子どもたちを指導している。

 球速アップに欠かせないのが、7つの能力のうちの1つである「変換」だという。状況に応じて素早く動作を切り替える能力のことだ。投球の際、(右投手の場合)右足から左足に乗せる「体重移動」をうまくできるかどうかが鍵を握るが、球速が伸び悩む子どもは、体重移動をしながら上半身と下半身が一緒に動く傾向が強いため、コーディネーショントレーニングでは「上半身と下半身でバラバラの動きをする」トレーニングなどに取り組む。

 ギリギリまで軸足に体重を残してから、ステップする前足に伝えれば出力が生まれるが、それができない子どもは少なくない。しゃがんで使う和式便所を使用したり、木登りをしたりする機会が減った現代の子どもは、母指球(足裏の親指の付け根部分)をうまく使えず、ジャンプする際に母指球ではなく、かかとやほかの指を使いがちだという。その場合、片足立ちをする際も後ろに体重が乗って、腰が抜けたような体勢になってしまう。「片足立ちができなければ、速い球は投げられない」というのが土屋さんの考えだ。

外遊びの代わりになる“先を見据えた”トレーニング

体重移動の重要性を説く土屋朋弘氏【写真:編集部】

 片足立ちについてもシンプルに片足で立ったり、両足でかかとがつかないようにジャンプしたりして鍛える。さまざまな要素が組み合わさって「変換」の能力が身に付く。

 制球力も同様に、右足から左足に乗せる動きが重要になる。土屋さんは「体重移動がうまくできないと、肘の位置が後ろ寄りになって前に持ってこられないので、本来投げないといけないポイントで投げられなくなる」と指摘する。球速アップも制球力向上もキーワードは“体重移動”ということだ。

 土屋さんは小学4年から野球を始め、和歌山・箕島高、名古屋商科大、シティライト岡山を経て2009年のドラフト5位で楽天に入団した。投手に専念したのは大学から。土屋さんは「僕が大学で花開いたのは、神経や筋肉や体ができる18歳から22歳くらいまでの間に最高のパフォーマンスを出せたからです」と自己分析する。

 そして「子どもの頃は木登りやフェンスの上などの細い場所を走るのが好きで、それがのちに生きたと思います」と土屋さん。意図せずとも体の動かし方を習得していたからこそ、投手としての力の入れ方をスムーズに理解することができたという。「危険」が避けられがちな現代においても、先を見据えたコーディネーショントレーニングに取り組めば再現できると信じている。

【実際の動画】球速&制球力向上へ…元楽天投手が実演 投球動作のブレなくす“片足立ち”ドリル

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