“投手失格”烙印も…1年足らずで球速140キロへ 猛牛守護神がこだわった「叩きつけ」

公開日:2024.01.12

文:間淳 / Jun Aida

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元近鉄の赤堀元之氏…高校時代に球速120キロ台前半から15キロ超アップした要因

 5度のセーブ王に輝いた赤堀元之氏は高校時代、一時は“投手失格”の烙印を押された。しかし、1年もかけずに120キロ台前半だった直球の球速を140キロまで上げ、ドラフト会議で近鉄に指名された。短期間で15キロ以上の球速アップに成功した理由は「脱力の習得」だった。

 今季からウエスタン・リーグに加わる「ハヤテ223(ふじさん)」の監督を務める赤堀氏は6日、地元の静岡県藤枝市で野球教室に参加した。年長の園児から小学3年生までの野球未経験者を対象としたイベントとあって、技術指導ではなく、野球の楽しさを存分に伝えた。

 近鉄時代に最多セーブ(当時は最優秀救援投手)のタイトルを5度も獲得している赤堀氏は現役時代、制球力の高さを武器とし、直球の球速も150キロ近かった。ただ、静岡高時代は球速が上がらず、2年秋に一度は野手に転向した。当時の直球は120キロ台前半だったという。

「配置転換で野手をやった時期がありました。もう一度、投手をやろうという話になった時、何かを変えなければいけないと思いました」

 これまでと同じことを続けていても結果を出すのは難しいと考えた赤堀氏は、投球フォームの改造に取り組んだ。テーマは「脱力」。力の抜き方を覚えて、力を入れるところと抜くところのメリハリをつける投げ方を目指した。参考にしたのは、広島で通算213勝を記録した北別府学氏だった。

「腕に力が入り過ぎていたフォームを変えました。脱力してリリースの瞬間だけ力を入れる投げ方です。腕だけで投げても球速は上がりません。下半身を中心に体全体を使って投げる形を意識して、リリース以外は力を抜く方法を身に付けました」

リリースを安定させる練習と筋トレも導入…球速140キロまでアップ

子どもたちに野球の楽しさを伝える赤堀氏【写真:間淳】

 赤堀氏は力を無駄なく投球に伝えるため、リリースにこだわった。力の抜き方と入れ方に加えて、リリースを安定させる練習にも取り組んだ。その1つが、球を地面に強く叩きつけるメニュー。球を叩きつけて大きくバウンドさせることができれば、リリースの瞬間に力を出せている基準になるという。

 さらに、冬場はジムでウエイトトレーニングに取り組み、ベースとなるパワーアップに成功。3年夏には球速が140キロに到達した。

 力を抜くことで、持っている力を最大限に出せる。脱力投法の習得がなければ、投手の道もプロの道も閉ざされていただろう。