楽天で首位打者に…鉄平氏が考えるキャッチボール「投げ方」編
楽天時代に首位打者を獲得した鉄平氏は現役引退後、球団のアカデミーコーチを務めている。教え方は多岐に渡り、打撃では子どもにもできる“連続ティー”のコツだったり、守備ではプロ野球選手もおろそかにしないキャッチボールの方法だったりと“引き出し”が多い。前回の捕り方に続いて、今回は「投げ方」を鉄平氏の言葉で紹介する。
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意外と見過ごされているのがボールの握り方です。正しく握れていないと、指先に力が伝わらず、力強さやコントロールを欠いてしまいます。人差し指と中指は指1本分くらい開けて握り、ボールの下を支える親指は、指1本分開けた位置の真下に添えます。人差し指と中指は、平仮名の「つ」のように見えるボールの縫い目の長い方の横線にかけます。
これが、直球(フォーシーム)の握りで、よりスムーズに力を伝達できます。小学生の頃は、握りによって投げるボールに違いが出るのがわかりにくいかもしれませんが、中学、高校と力強く腕を振れるようになると握りの重要性に気付くはずです。正しく握って投げれば肩や肘への負担が少なく怪我の予防にもなるので、小学生のうちから身に付けてほしいと思っています。
ボールを投げる時には、体を横向きにします。右投げの場合は、相手に対して左肩を向ける形です。正面を向いて、相手に胸を向ける子どもを時々目にしますが、体を回転させて腕を振るのが難しくなります。
強いボールを投げるためには、軸足(右投げなら右足)にいかに体重を乗せられるかがポイントです。軸足にためた力を踏み出す足(右投げなら左足)に移し、指先まで伝えます。元々、肩が強いタイプの子どもは上半身の力だけでも力強いボールを投げられますが、下半身や体重移動を使わないと肘や肩に負担がかかってしまいます。
体重移動は体を回転させることでスムーズになります。子どもたちの動きによってアドバイスの内容は変わってきますが、軸足を強く回す意識で投げると、体が回転しやすくなります。他には腰を回すと伝える時もありますし、右投げなら左肩の位置に右肩を持ってくるように体を回すと表現する時もあります。自然な体重移動というゴールは同じですが、たどり着くまでの道は1つではありません。
ボールを投げるうえでは、強さとコントロールの2つが重要な要素となりますが、まずは強く投げることに重点を置いて指導しています。これは、打撃指導でも同じですが、強いボールを投げたり、打球を遠くに飛ばしたりできるようになると、シンプルに楽しいからです。子どもたちには野球の楽しさを知ってもらいたいですし、楽しいと感じれば自主的に練習したり、考えたりするようになります。