
多賀少年野球クラブの辻正人監督は初心者指導で投げ方に重点を置く
ポイントは左肩と右肘。14日に閉幕した「高円宮賜杯第42回全日本学童軟式野球大会 マクドナルド・トーナメント」に出場した滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督は、子どもたちの指導で「投げ方」に重点を置く。経験や年齢を重ねてからでは、修正が難しいという。
今年も“小学生の甲子園”と呼ばれる「マクドナルド杯」に出場した多賀少年野球クラブには、園児も所属している。チームを率いる辻監督が未経験者と初心者の子どもたちの指導で重点を置き、時間を割いているのが「投げ方」だ。
「肩が柔軟で癖がついていないうちに正しい投げ方を覚えないと、後から直すのは大変です。初心者に対して『とりあえず、キャッチボールをやろう』と言う大人もいますが、キャッチボールは中級者向けの練習です」
野球を始めたばかりの子どもに多いのが、体を回転させずに肘から先だけを使うダーツのような投げ方。これでは、ボールに力が伝わらない。辻監督がポイントの1つに挙げるのは“利き腕と逆の肩”。右投げの場合は「左肩」だ。
右投げの子どもの場合、意識させるのは“左肩と右肘”
左肩を起点にして体を回し、右肩が左肩より前に出るようにしてボールを投げる。辻監督は「体の中心に軸はありません。体の真ん中には足がないからです。左肩を意識すると左足を軸に体が回りやすくなります」と説明する。
もう1つの大事なポイントは利き腕の肘。右投げなら「右肘」だ。右腕を地面と平行に真っすぐ伸ばした位置、肩と真っすぐのラインで右肘を直角に曲げるのが、理想だという。ボールを投げる時に、最も肘を回す距離が長くなるためだ。肘が下がりすぎたり、上がりすぎたりすると、肘を回す距離が短くなって腕が加速せず、ボールの威力は落ちてしまう。
「正しい体の使い方ができると肩や肘の故障のリスクを減らせますし、腕を強く振らなくても速いボールを投げられます」と辻監督。意識するのは左肩と右肘。少年野球のうちに、無駄なく最大限の力が伝わる理想のフォームを身に付ければ、ボールを投げるおもしろさ、野球の楽しさを感じられる。