直球待ちでは「生き残りは不可能」 最多勝投手も1/5…見直すべき“変化球打ちの原点”

更新日:2026.01.27

文:内田勝治 / Katsuharu Uchida

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プロトレーナーの高島誠さん「現代野球の主役は変化球なのに打つ練習をしない」

 現代野球は、変化球全盛の時代に突入している。中学、高校、大学とステージが上がるにつれ、投手が投じるフォーシーム(直球)の割合は少なくなっていくのが世界の潮流だ。もはや「直球待ち」では安打を量産できない現実が、トップレベルのデータにも顕著に表れている。

 象徴的なのが、昨季ソフトバンクで2年連続パ・リーグ最多勝に輝いた有原航平投手(日本ハム)の投球内容だ。全投球のうち、直球が占める割合は約20%しかない。つまり、打席内で直球一本に絞って待っていても、5球に1球しか来ない計算になる。

「昨季ワールドシリーズMVPの山本由伸投手(ドジャース)は約36%、160キロ以上の直球を投げる佐々木朗希投手(ドジャース)ですら50%程度です。データを見れば明らかな通り、現代野球の主役はすでに変化球に移っています。それなのに、なぜ多くの打者は依然として直球を打ち返す練習ばかりに時間を割き、肝心の変化球を打つ練習をしないのでしょうか。直球ばかりを待っていては、今の時代、上のレベルで生き残ることは不可能です」

 オリックスやMLBのナショナルズでトレーナーを務めた高島誠さんは、指導現場の矛盾を鋭く突く。ピッチングマシンの直球や、打撃投手の緩いボールをいくら完璧に打ち返したところで、実戦のマウンドから放たれるのは、手元で急激に曲がるカットボールやスイーパー、消えるように落ちるスプリットだ。

 ただ、変化球のみを投げ続けるのは打撃投手の負担も大きく、練習と実戦には依然として大きな乖離がある。そこで高島さんが提案する練習法は、意外にも少年時代の「遊び」の中に隠されていた。

「私たちの世代は子どもの頃、ホウキをバット代わりに、ピンポン球でよく野球をやっていました。ピンポン球は比重が軽く、空気抵抗を受けやすいため、指先で弾くだけでものすごく曲がります。この軌道が頭にあれば、変化球の曲がりがすごいってならないと思うんです。今はそういう遊びをやっていないので、変化球の軌道が分からない子が多いんですよ。遊びの中で曲がったり落ちたりする軌道をイメージしていくことが、変化球打ちの原点です」

求められる対応力「変化球を張って直球に対応する引き出しが必要」

Mac’s Trainer Roomの高島誠氏(左)【写真:伊藤賢汰】

 日本の指導現場では、「上から叩け」「最短距離で振れ」といった画一的なスイングの形を重視する傾向が強い。しかし、鋭く落ちる変化球に対して、昔ながらの「上から叩く」意識で挑めば、空振りかボテボテの内野ゴロになるのは物理的な必然だ。

 高島さんは、今の打者に必要なことは、変化球の軌道を頭に入れた上で、多少体勢を崩されながらでもバットの芯で打ち返す「対応力」だと説く。

「練習で10球中10球、完璧なフォームで打てる必要はありません。むしろ、直球と変化球をランダムに混ぜた状況で、どう食らいついていくか。今の時代、直球だけを張っていたら対応できません。打てる『幅』を大きくするために、変化球を張って直球に対応するといった引き出しが必要になってきます」

 高島さんは2月2日から開催される「打撃改革3DAYS」に出演予定。変化球全盛時代を生き抜くための具体的な練習ドリルや、対応力を高める身体のメカニズムについて、余すことなく公開する。

少年野球で役立つ“明日から使える”指導法を紹介…「打撃改革3DAYS」開催

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