日本の連続ティーに「ジョークだろ?」 海外コーチ驚愕…打者の低迷招く“コネる文化”

数多くのプロを指導する根鈴雄次氏…投高打低を覆すために必要な思考とは
現代野球は投手のレベルが年々上がり、打者が苦しむ「投高打低」の時代と言われている。プロ野球でも昨年は3割打者や本塁打数の激減が目立った。要因と打開への鍵は何になるだろうか。First-Pitchでは、打撃指導で豊富な実績を持つコーチやトレーナーを取材。オリックスの杉本裕太郎外野手ら数多くのプロ野球選手を指導する根鈴雄次さんは、「投手は根拠のある練習ができているが、打者は昔とそれほど変わらない。当然の結果なのかもしれない」と警鐘を鳴らす。
2024年の野球界は打者にとって厳しいシーズンだった。NPBではセ・パ両リーグの3割打者は2リーグ制以降で最少の3人、本塁打数も2023年の1250本から974本に激減した。アマチュア野球をみても高校では低反発バットが導入され「スモールベースボール」を取り入れるチームも……。一方で投手はここ数年で150キロが当たり前となり、160キロに迫る速球を投げる高校生も現れるようになった。
投手有利の状況について根鈴さんは、近年、ラプソードなどの分析機器を投手側が上手に活用できていると見ている。「投手側の指導が感覚じゃなくて、データに基づいてできるようになった。打者のスイング傾向で、ある程度の“弱点”も分かるようになりました。そこに、トレーニングなどで球速も上がり、変化球の種類や質も増してきた。それに比べて打者は、まだ感覚的な部分が多く、進化できていないように思えます」。
打者のスキルが上がらない現状には、指導者の思考も関わっているという。例えばメジャーで本塁打王を獲得した大谷翔平投手(ドジャース)の打撃には「大谷だからできるスイング」と言い切る風潮がある。だが、同僚で身長175センチと小柄なムーキー・ベッツ内野手でも年間30発(2023年は39本、打率.307)の成績を残している。「体の大きさ、筋力差ではなく打てるには理由がある。指導者がシャットアウトする傾向がありますね」と指摘する。
投高打低の打破には「ラケットスポーツのような考え方」が鍵

時代は進化し簡単に情報が得られるようになったが、昔から変わらない打者の練習方法が「連続ティー」だという。大きくスタンスを取り、ステップせずに反動をつけてバットを振り続ける。体力の限界まで追い込み、数をこなす日本の“伝統的”な“根性練習”に根鈴さんは首をかしげる。
「米国、ドミニカ共和国などの指導者に連続ティー打撃の映像を見せると、『ジョークだろ?』と言います。打撃を構築するのにこんな非効率な練習はない。あれがフィジカルや伝統だからやるって言い切るならまだ分かります。ですが、連続ティーは必ずリストターン、コネる動作が生まれます。手の皮がベロベロになって満足するのはもうやめたほうがいい。日本の打者、指導者はスイングスピードや打球速度を上げることに重きを置いている。私は“コネコネ文化”を無くしたいと思っています(笑)」
速いボールに対応するにはフィジカルも大切だが、方向性を考え、相手のボールを利用して打ち返す「ラケットスポーツのような考え方」が大切だという。一番、やっかいなのは変化球などの奥行で、ミートポイントの幅を広げていくことが“打低”を払拭する近道になる。
固定観念を吹き飛ばす打撃理論で、スケールの大きな打者を育成する根鈴さんは、代名詞ともいえる“縦振り”の本当の意味、最先端の理論などを、これからも地道に伝授していく。
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