【少年野球】ティーバッティングで“打ち返す力”が身に付く! 専門家推奨の効果的実践法

文:First-Pitch編集部

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 バッティングの基本練習として、真っ先に思い浮かぶ1つが「ティーバッティング」です。少年野球からプロ野球選手でも行う、技術向上に欠かせない練習で、打撃の基礎づくりにもってこいですが、やり方にはさまざまあり、メリットや注意点を理解した上で行うことで、より効率的に打撃力向上に近づくことができます。

 では具体的にどのような目的・メリットがあり、どのような実施方法があるのか。プロ野球選手を育てた専門家や、少年野球の現場をよく知る指導者の考え方から、知りたいポイントを探っていきましょう。

目次

専門家プロフィール

    ○西尾弘幸(にしお・ひろゆき)
    1957年6月3日、東京・足立区出身。教員として1994年から勤めていた江戸川区立小松川第三中では都大会で5度優勝。2006年に江戸川区立上一色中に赴任し、全中では2度の準優勝。クラブチームも含む2012年全日本少年軟式野球都大会では、中学校のチームとして大会初の頂点に。2022年全日本軟式少年野球大会では初の日本一に輝いた。横山陸人(ロッテ)をはじめ、高校以降も活躍する選手を育てている。First-Pitchと連動している野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT(ターニングポイント)」でも、育成年代の野球指導に向けたトレーニング方法や理論を解説。

ティーバッティングの目的

 ティーバッティングとは一般的に、斜め前方向からトスされたボールを打つ練習です。フォームづくりやスイング力の強化、ミート力向上などを目的として行います。素早くトスされた球を続けて打つ「連続ティー」や、ティースタンドの上に置いた“止まった球”を打つ「置きティー」など、さまざまなバリエーションもあります。

1-1 ティーバッティングのメリット

 前述のように、バッティングの基本動作を身に付けるために有効な練習です。ある程度の数をこなすこともできるので、バットを“振る力”や、動いている球を“打ち返す力”がつきます。高めの球、低めの球など、トスの位置によって苦手なコース克服にもつながります。

「連続ティー」であれば体のキレを取り戻すためにも有効ですし、「置きティー」であれば、ボールをとらえる適切なポイントをつかむ練習にもなります。

1-2 ティーバッティングのデメリット

 バッティングの基礎練習だけに、間違った形や方法、目的を履き違えて行うと、癖のついたフォームが身に付いてしまう恐れもあります。素振りと同様ですが、回数をこなすことだけが目的となっては意味がありません。

 投げ手が適切な方向や位置にトスできるかも大切ですし、「置きティー」ではボールを置く位置も重要です。漠然と行うのではなく、コーチングを熟知する専門家の考えを取り入れながら実施するのが大切です。

プロの指導者が推奨する練習方法

上一色中・西尾弘幸監督【写真:荒川祐史】

 さまざまな実施方法がある中でも、専門家がお勧めするものがあります。具体的にどのようなティーバッティングなのか、各選手の課題感に合わせて取り入れてみましょう。

2-1 体の正面にトスしてもらうティーバッティング

 現役時代の松井秀喜氏や高橋由伸氏、阿部慎之助氏ら錚々たる名バッターを相手にティーバッティングを指導してきた、元巨人チーフスコアラーの三井康浩さんが勧めるのは、体の正面にボールを上げてもらう方法です。打つ時に「体の開きが早くなってしまう」、下半身を意識しすぎて「バットが思うように出てこない」と悩む選手に有効です。

「正面」とはいえ投手方向からトスするわけではなく、バットを構えた打者と正対して“真横”から投げてもらいます。トスする側は「打者の体の中心にボールを投げる」こと、バッターは「体の正面でボールをとらえること」と、「内転筋(太もも内側)を少し閉めて下半身を使わずにスイングする」ことがポイントになります。

「子どもたちに“お尻を回せ”と言うと、腰が先に回って手が出てこなくなります。上半身と下半身を合わせる(連動させる)練習にもなります」と三井さんは効果を語ります。かの、3冠王3度の大打者・落合博満氏も現役時代に実践していたそうです。

元巨人チーフスコアラーの三井康浩さん

2-2 中学日本一監督が推奨する”置きティー”

 野球初心者や、技術的に未熟で動くボールを上手く打ち返せない選手に推奨するのが「置きティー」です。プロ選手も輩出する中学軟式野球の強豪で、2022年に日本一にも輝いた東京・江戸川区立上一色中学校野球部を率いる西尾弘幸監督も、「バットに当てる練習をするのであれば、置きティーが一番良い。ボールが止まっているため当然打ちやすくなります」といいます。

 ただし、「気持ちよく打てるポイントにティースタンドを置いて練習していると、動いている球への対応が難しくなります」とも。そこで西尾監督が重視するのがティースタンドを立てる位置。強く遠くに飛ばしたいために、腕が伸びる位置にセットしてしまいがちですが、右打者であればスイング時に、踏み込んだ左足の膝の前付近にミートポイントが来るように立てると効果が高いそうです。

「腕が伸びたところにティーを立てると手首を返して打つ癖がついてしまい、バットの当たる角度が悪くなります。身長や腕の長さなどで多少違いはありますが、肘をたたんだ状態でバットとボールが当たる位置に(ティーを)セットすることで、レベルスイングの距離が長くなり(動いているボールでも)当たる確率が上がります」と西尾監督は説明します。

ティーバッティングのまとめ

 上一色中は練習時間の6~7割を割くバッティングを武器としていますが、入学当初は、前から投げたボールを打ち返せない選手もおり、その解決方法の1つに「置きティー」を推奨しているそうです。重い竹バットを使ったり、ソフトボールを使ったり、様々なバリエーションも加えています。

 自身のレベルに合わせて、まずは“止まったボール”を打ち、そして、三井さんが推奨する“動くボール”を打つ。バッティングは、いつでも思い通りに打てるほど簡単ではないからこそ、自分に合った打ち方や練習法を探って取り入れてみましょう。

 三井さんや西尾監督も賛同・出演している野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT(ターニングポイント)」では、最先端の理論などをもとにした練習ドリルやトレーニングメニューが公開されています。無料で250本以上の動画が見放題。指導者の“強い味方”として、多くの指導者から支持されています。

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