
侍ジャパンU-12に双子で選出…石井裕翔・陸翔の父が語る“育成方針”
双子で全国トップレベルへと羽ばたいた背景には、両親が大切にしてきた育成方針がある。今月に中国・杭州で開催される「第12回 BFA U-12アジア選手権」(8月9日〜15日)に出場する侍ジャパンU-12日本代表に選出された、兄・石井裕翔(ゆうと)選手と弟・石井陸翔(りくと)選手(ともに小6、千葉・都賀の台レッドウィングス)。桑田真澄監督(元巨人、現オイシックスCBO)が率いる注目チームに選出されるまでには、どのような成長過程があったのか。父・考敏さんに話を聞いた。
左投げ左打ちでU-12では背番号「1」を背負う兄・裕翔選手は、身長161センチで最速120キロの球速と高い制球力を兼ね備え、ストライク率70%超を誇る安定感が持ち味。しっかりと試合を作りながら三振も奪える実力派だ。
一方、右投げ右打ちで背番号「22」を背負う弟・陸翔選手は、捕手を中心に内外野も守れる身長162センチのユーティリティープレーヤー。球速117キロの強肩に加え、高いミート力を武器に広角へ鋭い打球を放ち、ここぞの場面での勝負強さも持ち合わせる。ちなみに、双子の2歳上の兄・大翔(はると)さんは小6でマリーンズジュニアに選ばれ、現在は中学硬式の強豪・京葉ボーイズでプレーしている。
「野球の技術については、子どもたちの好奇心を引き出すことを大切にしてきました。『今何がしたいのか』『どんな選手になりたいのか』『今の課題は何か』を一緒に考え、答えを押し付けるのではなく、子ども自身が考えて行動できるようにしてきました」
兄弟が所属する都賀の台レッドウィングスの監督でもある父・考敏さんはそう語る。考敏さん自身は大学2年まで野球を続けたものの、怪我のため競技生活を断念。その経験があるからこそ、技術だけでなく、将来を見据えた身体づくりにも力を入れてきたという。
「フィジカル面では、十分な睡眠を最優先にし、水泳や瞬発系トレーニング、股関節・肩甲骨などの可動域を広げる運動を継続してきました。野球だけでなく、将来にも役立つ体づくりを意識してきました」
2人とも幼い頃から野球一筋だったわけではない。初めはサッカーで遊ぶことが多く、父も「このままサッカーに進むんだろうな」と思っていた。変化のきっかけは、地元・千葉ロッテ戦の試合観戦。さらに、兄・大翔さんが野球を始めたことで、「自然と双子も野球に興味を持ち、野球で遊ぶ時間が増えていきました」と振り返る。
十分な睡眠と練習時間を確保できることを優先

やがて野球が好きになり、夢中になっていった2人。双子だからこその環境も、成長を大きく後押ししたようだ。「双子の一番の強みは、互いが常にライバルであり続けられること。どちらかが活躍すれば刺激になりますし、悔しい気持ちになることもあります。その積み重ねが互いを成長させてくれました」。
一方で、「2人で野球をすると、どうしても遊びの要素が強くなってしまうことがありました」という苦労も。父としては、個々に課題と向き合ってほしいと思っても、2人で練習を始めると自然と競争になり、いつの間にか“勝負を楽しむ時間”になっていることも多かったという。ただ、それだけ楽しみながらも、自然と競い合える相手が常にそばにいたことは大きかった。
次第に双子の評判は県内に広がった。所属チームは同学年だけでは人数が足りず、下級生や他との合同チームで大会に出場することも。近年の学童野球は、より高いレベルを求めて強豪へ移籍する選択も珍しくないが、考敏さんは環境を変えることをしなかった。
「子どもにとっては地域とのつながりも大切ですし、自宅から近い環境で、十分な睡眠と練習時間を確保できることを優先しました。強豪チームに行かなくても高い目標は持てますし、逆に強豪に勝つことを目指せば、自ずと目標は高いものとなります。大切なのは環境よりも、子ども自身が目標を持ち、それに向けて努力を続けられるかだと思っています」

親から受け継いだ「自ら考え、挑戦する姿勢」を胸に、世代を代表する選手となった兄弟は、いよいよ侍ジャパンのユニホームを身にまとう。
兄・裕翔選手は「日本代表として責任感を持って行動したい。この大舞台で自分の力を発揮できるように、しっかり準備をして大会に臨みます」と意気込みを語り、弟・陸翔選手も「日本代表として責任感を持って行動したい。試合ではどんどんチャレンジして、アジアチャンピオンを目指します」と力を込めた。
最後に「携わってくださった方々への感謝を忘れず、行動で示していきたい。そして、結果として桑田監督を胴上げできるように頑張ります」と、そろって決意。兄弟として、ライバルとして、そして最も頼れる存在として高め合ってきた絆を武器に、大舞台へ挑む。
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