元中日・吉見一起氏が語る、社会人からプロ入りの“強み”
今年もプロ野球ドラフト会議が26日に開かれ、数多の選手たちがプロの門を叩くことになる。甲子園を沸かせた高校生や大学生に比べ、社会人出身は注目度では劣る印象もあるが、NPBの舞台で羽ばたいた選手は少なくない。元中日エースの吉見一起氏も、そのひとり。自らの経験を踏まえ「社会人に進むことは決して遠回りじゃない」と話す。
吉見氏は金光大阪高を卒業後、トヨタ自動車へ。社会人ナンバーワン投手と呼ばれるまでに成長し、2005年のドラフト希望入団枠で中日入りした。「高校には高校の良さ、大学には大学の良さがある」とプロ入りへのステップの違いにそれぞれ長所があると認めつつ、社会人上がりの強みも感じている。
同世代がチームメートの高校や大学と違い、下は10代から上は40代までが同じグラウンドに立つ社会人。選手それぞれの立場や、野球への考え方などに触れることができ、視野は広がる。なにより「プロを除けば、(国内で)一番レベルの高い野球だと思う」という実力の世界にも鍛えられた。
さらに、会社の仲間たちからの応援が力になった。自分が“会社員”であることを再確認する瞬間。「企業として戦うという魅力があるし、(社員の方たちを)ハッピーにさせなくちゃいけない。プロ野球で例えると、それはファンだと思うんです」。選手として忘れてはいけない意識のひとつを学んだ。
プロ入り後の人生を重視「社会人でこそ人間力を学べる」
プロに入って世界が変わる“カネ事情”も、社会人経験が役立った。ドラフト1位ともなれば、契約金1億円、年俸1500万円前後に上る。それまで見たことのない金額が口座に振り込まれ、自由に使えるお金は一気に増える。特に高卒ホヤホヤ選手らには刺激が強く、「金銭感覚が狂う人もいる」。吉見氏が堅実でいられたのは、トヨタ時代があったからだった。
会社からの給与は得ていたが、必要に迫られ買った車のローンなどを引くと、手元に残るのは毎月7万円ほど。そこから生活費などを支払い、自由に使えるのは3万円程度だった。決して厳しいわけではないが、余裕があるわけでもない。「少ないお金でやりくりすることは、社会人を経験して良かったところ。経験してなかったら使いすぎてたかも」と振り返る。プロ入り後に使う金は増えたものの、常に預金残高を考えながら頭の中でそろばんを弾いていた。
プロを志す選手なら誰しも、チャンスがあるなら少しでも早くNPBの世界に足を踏み入れたい。社会人に進み、毎年のようにドラフト候補に挙げられながらも指名を逃すケースもなくはないが、吉見氏が重視するのは“プロ後の人生”。「仮に80年生きるとして、プロ野球人生を10年だとした、たったの8分の1。野球を終えてからが大事だと思うから、社会人でこそ人間力を学べると思います」。プレー以外での学びが、野球人として、ひとりの人間として成長させてくれたと信じている。
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