間違えたくない小学生の「バット選び」 身長目安はNG? 専門家が伝授する基礎知識

公開日:2025.05.08

文:石井愛子 / Aiko Ishii

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表記や固定観念にとらわれないバット選びを…専門家がわかりやすく解説

 子どもが野球を始めたばかりの頃は、知り合いからのお下がりや、チームの共用バットを使うことがよくある。最初はそれで十分かもしれないが、選手の技術が向上するにつれて、自分に合ったバットを使っているかが試合の結果に大きく影響してくる。親子にとって“大きな買い物”でもある、学童野球のバット選びの大切なポイントとは? 千葉県鎌ケ谷市にある「超野球専門店CV」代表の中村勇太さんに、気を付けたいポイントを、わかりやすく解説してもらった。【記事下の動画もご参照ください】

「まず、低学年だから軽めの金属バットがいいというのは少し違います。バット選びで重要なのは、『毎回同じスイングでバットが振れているかどうか』です。軽めのバットを使用して、速いスイングスピードで振れていても、振るたびにスイングにばらつきがあれば、打席でボールを捉えることは難しくなります」

「反対に、そこそこのスイングスピードであっても、毎回安定したスイングができていれば、ブレがない分しっかりとボールにコンタクトしやすく、おのずと打率も上がってきます。その子に合った重さのバットを選んであげてほしいと思います」

 野球を始めたばかりは、まずしっかりとスイングできることが大切。だからこそ、軽すぎず重すぎず、適正な重さのバットを選ぶべきだと中村さんは説明する。

「高学年になるにつれてスイングも安定し、スイングスピードも上がってきます。バットの素材や重さ、重心バランスの異なるバットを何本か振ってみて、しっかりと振れているバットの中で、少し重さが感じられるバットを選ぶのがベスト。なぜなら、同じ軌道でボールに当たった場合、重たいバットの方が打球速度は上がり、長打やヒットになる確率も高くなるからです」

「飛距離が出ると言われる少年用ウレタンバットは、金属バットに比べて先のほうに重心があるので、金属バットと同じ重量でも体感的に少し重く感じやすいです。もし低学年でもしっかり安定したスイングができている選手は、ウレタンを検討してもいいですね。逆に高学年でも、まだ振る力が弱い選手は、ウレタンよりも金属の方が扱いやすい場合もあります」

 高機能のバットが、必ずしもその子に合っているとは限らず、実際に振ってみなければわからないこともある。試打できるスペースがある店舗に行ける環境ならば、必ず振って感触を試してから購入を検討するのが良いだろう。

インターネットやリサイクルショップで購入する際の注意

様々な要素がバット選びには重要だという【写真:編集部】

 だからこそ、インターネットで購入する際は、細心の注意が必要になる。

「よく子どもの身長を目安にしてバットを選ぶ人がいますが、そもそもバット選びの際、身長はあまり重要視しなくていいと思います。低身長の子が、トップバランス(バットの重心が先端寄り)で長く重めのウレタンバットを選んだとしても、安定したスイングができていれば、その子には合っていると言えるからです。とはいえ、いきなり低学年で78~80センチのウレタンバットを使用するのは無理があるので、そこもしっかり見極めてください」

 意外と知られていないのは、トップ、ミドルなどのバランス表記は各メーカーによって基準が異なるということだ。

「A社がミドルバランス(バットの重心が中心寄り)としている商品でも、B社の基準だとトップバランスと表記されることもあります」。つまり、普段ミドルバランスを使っていたので、別のメーカーのミドルバランスをネットで購入したが、実際に振ってみると「しっくりこない」ということも起こりうるから要注意だ。

 最近はリサイクルショップでバットを購入する保護者も多いかもしれない。特にウレタン素材のものを購入する際は、しっかりと状態を見極めたい。

「反発素材を使ったウレタンバットは、新品の状態がやはり一番飛びます。使用頻度はもちろん、保管状態や適した使い方をしているかによっても、すぐにウレタン部分は劣化してしまいます。リサイクルショップで購入する場合は、素材の劣化を踏まえて判断をしてください」

 新品のウレタンバットを買った親子にも“NG行為”がある。中村さんは、「バッティングセンターで使用している人がいたら、今すぐやめた方がいい」と注意を促す。

「バッティングセンターのボールは、通常の軟式球より硬い仕様になっているので、ウレタン部分を傷めやすいからです。ウレタンバットには『バッティングセンターで使用しないでください』と表記されています。バットを少しでもいい状態でキープするためにも、適した使い方をしてもらいたいですね」

 バットは選手にとって、グラブとともに“相棒”のような存在。高機能だから打てるわけではなく、現時点の選手に合っているかが何より大切だ。「周りがカーボンやウレタンバットを使っているから、うちの子も買わなくちゃ」ではなく、お子さん自身が「これなら振り切れる! 振っていて気持ちいい!」と思える1本を、見つけてあげてほしい。

【実際の動画】小学生3人が“スイングスピード”計測にトライ 「バット選び」のコツを専門家が解説

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