
元燕戦士たちが指導する「FastBall Baseball ACADEMY」が8月開校
プロ野球の世界で戦った経験を生かし、息の長い選手の育成を目指す。8月に東京・豊洲に開校する「FastBall Baseball ACADEMY」(ファストボール・ベースボール・アカデミー)のトライアルイベントが6月に開催され、元ヤクルト投手の久古健太郎さん、同外野手の志田宗大さん、昨年までヤクルトでハイパフォーマンスディレクターを務めた阿部勝彦さんが小・中学生を指導した。プロがデータを駆使しつつ育成年代を教えるメリットとは何か。そこには、一流レベルでも見られる“課題”があるという。
「FastBall Baseball ACADEMY」は、プロ球団にデータ分析システムを提供するライブリッツ株式会社が、2023年から実施している「デジタル野球教室」の常設化を目指して開校するもの。会場は、プロハンドボールチーム「ジークスター東京」の練習拠点である「Future Sports Lab」で、ラプソードやブラストなどの計測機器はもちろん、場内にある最新のトレーニング機器も活用しながら指導を行っていく。
この日のトライアルには小学5年〜中学3年生まで、11人の硬式・軟式選手が参加。トレーニングプログラムを監修する阿部さんの指導のもと、ストレッチやダッシュなどのドリルでウオーミングアップをすると、投手担当の久古さん、打撃担当の志田さん、フィジカル担当の阿部さんとグループに分かれて90分間、熱のこもった指導が行われた。
アカデミーのコンセプトを聞くと、「次のステップでしっかり活躍できる選手を育てること。目先の試合に向けたスキル指導も大事ですが、将来的に長く活躍できる、息の長い選手を育てたいと考えています」と久古さん。黒田博樹氏(元広島、ヤンキースほか)、五十嵐亮太氏(元ヤクルト、メッツほか)ら日本人メジャーリーガーも指導してきた阿部さんの協力を得ているのも、育成年代からの“土台作り”が息の長い活躍に大切だからだという。
「プロ選手でも、技術だけでやってきたのと、しっかりトレーニングをしてきたのとでは、スタートラインが全く違います。体が弱いと最初の1〜2年はファームでの土台作りに費やすことになり、時間がかかります。小・中学生の段階からフィジカルを積み上げ、上のステージでも最初からアドバンテージを作れる、そんな指導をしていきたい」(久古さん)
データ計測には「選手のマックスを発揮させる」メリットも

阿部さんもまた、「上のレベルで活躍したい、成功したい子にとって、フィジカル強化の重要性はより増している」と力を込める。「オーバーユースや休養について語られるようになったのは良い傾向ですが、かといってプロ野球の試合数は、30年前、50年前と変わらないどころか、むしろ増えている。球速も上がっているし、酷暑の環境にもなっている。いわば世の中の流れと“逆行”しているのがプロ野球なんです」。
だからこそ、この日もしゃがむ姿勢ができない子どもたちの股関節の硬さを指摘し、「投げるにも打つにも柔軟性が大切」と繰り返し語っていた。「私たちのメッセージを伝えることで、ここで学んだことを自分で継続できるようになってくれれば」と意気込む。

そして、客観的なデータ分析という独自性もある。選手たちの強みや弱みを数値で可視化し、アプリで管理。加えて、スイング速度などをリアルタイムで表示しながら指導を行った志田さんは、「数値が目に見えると、子どもたちは自然に“それを超えよう”と強く振るようになる。自分のマックスを出させる、出力を助ける意味合いもデータ計測にはあります」とメリットを強調した。
スキル、フィジカル、データに加え、プロの世界を生きてきた指導陣の“鋭い視線”もそこには加わる。最後のミーティングで志田さんが指摘したのは、「ウオーミングアップで『全力疾走で』と言われた場所まで、みんな全力で走れていなかった。そういう部分も大事にしてほしい」。一流の世界での経験を元に、球界の未来を長く担えるプレーヤーを育てていく。
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