オランダ代表に選出された“中学1年生” 体格で劣るも…日本野球が尊敬される理由

更新日:2026.06.17

文:橋本健吾 / Kengo Hashimoto

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オランダに家族5人で移住…東畑優太さんの長男・太陽くんが続ける野球

 異国の地でも野球を続けたい――。仕事の都合で海外に赴任した際、子どものスポーツ環境に悩む保護者は多いかもしれない。昨年4月に家族でオランダに移住した東畑優太さんもその1人だ。中学1年生の長男・太陽くんは、ロッテルダム代表のトライアウトに合格し、7月のヨーロッパ・アフリカ大会の切符を掴んだ。オランダで親子は充実した日々を送っている。

 日本の小学校教員だった東畑さんは、文部科学省の在外派遣教員試験に合格。環境が変わることに不安もあったが、「様々な経験をしてほしい」と家族5人で移住し、オランダの日本人学校に勤務している。言葉の壁や文化の違いといった困難も経験しながら、異国での生活を送っている。

 太陽くんも、新天地で野球を続けている。オランダの少年野球ではリトルリーグが最も盛んで、日本のように小学、中学のカテゴリーではなく年齢で区分される。小学校3年生で野球を始めた太陽くんは地元の「セインツ」のクラブチームに所属し、唯一の日本人としてプレーしている。

 日本と比較すると、オランダの指導は子どもの主体性を尊重しつつ、メディシンボールやラダーなどの道具を用いたシステマチックなメニューを取り入れている。コーチ陣も大人のクラブチームから派遣されるなど、クラブ全体で子どもたちの育成に力を注いでいる。

「最初は日本人と認識されていないぐらいでした。親としても言葉の壁や友達ができるかなと不安もありましたが、オランダは親日の方が多くて、回数を重ねるごとに『タイヨウ、ガンバレ』と日本語も使ってくれてすぐに打ち解けました」

ロッテルダムチームのトライアウトに合格…オランダ代表に選出

言葉や文化の壁を越え、野球を通じて交流を深めている【写真:家族提供】

 言葉や文化の違いがある中、太陽くんは野球を通じて仲間と交流を深めていった。現在は遊撃手や捕手を務めており、グラウンドでは投手とサイン交換を行うなど、言語の壁を越えた信頼関係を築き上げた。プレーを通じたコミュニケーションが、異国の地で適応するための大きな支えとなっている。

 野球が好きで、どんな環境でも上手くなりたい。そんな思いを胸に続けた努力が実を結び、レギュラーを獲得すると、ロッテルダムチームのトライアウトにも合格。太陽くんを含めた13人の精鋭メンバーは予選を勝ち抜き、オランダ代表に選出された。今後は7月にポーランドで開催される「ヨーロッパ・アフリカ大会」に出場し、勝ち抜けば8月に米国で行われる世界大会に出場する。

 オランダは世界で最も平均身長が高い国として知られており、子どもたちの身体能力も高いという。体格や筋力では劣るが、“日本の野球”が通用することを実感したという。細かいサインや戦術的な動きは日本の方が進んでおり、地元の関係者からも「日本人のプレーは洗練されている。素晴らしい」と驚かれたという。東畑さんも「本当に日本へのリスペクトを感じます」と口にする。

 今後の進路について東畑さんは、太陽くんが楽しんで野球を続けることを最優先と考えている。当面の目標はオランダ代表として世界大会に出場すること。日本で培った基本と異国での学びを融合させ、親子は世界の舞台で野球を楽しんでいく。在外派遣期間は3年間で、1年半後には帰国予定。かけがえのない親子の挑戦はこれからも続いていく。

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