「怖くて打撃を変えられなかった」 元U-18代表の後悔…安定捨てて挑む“指導者の道”

公開日:2025.02.04

文:橋本健吾 / Kengo Hashimoto

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報徳学園で甲子園4強、U-18代表にも選出…八代和真さんが野球塾を新設したワケ

 野球人生で後悔を残してほしくない。自らの経験を糧に安定を捨て、指導者の道を選んだ。今年1月から兵庫県・加古川市で野球塾「WIN Baseball School」を立ち上げたのが八代和真さん。高校時代は甲子園ベスト4、U-18高校日本代表に選出され、立命大でも活躍した八代さんは「子どもの時から正しい知識、フォームを身に付けてほしい」と、野球指導に情熱を注いでいる。

 八代さんは報徳学園では1番打者として2010年夏の甲子園で打率5割をマーク。準決勝では春夏連覇を果たした興南(沖縄)に5-6で惜敗するも、あと一歩のところまで追い詰めベスト4入りした。俊足好打の外野手としてU-18高校日本代表に選出。その後は立命大に進学し、順風満帆な野球人生を送っていたが、卒業と同時に現役引退を決めた。

「足に自信がありヒットもある程度は打てたのですが、高校日本代表のメンバーで山田哲人(ヤクルト)らの打球を見て、自分に足りないものがわかりました。大学でもレギュラーで試合に出場しましたが、目立った活躍はできませんでした。上のレベルになればなるほど『もう少し打球を飛ばせれば』という声が多くて……。長打を狙うことも考えましたが、“居場所”を失うのが怖くて、自分の打撃を変えることはできなかったです」

 いくつかの社会人野球チームから誘いはあったが、高いレベルでプレーする姿は想像できなかった。「もっと野球の技術、理論を知っていれば」と後悔を抱きながらも、大学卒業後は猛勉強し、消防士の試験に合格。働きながら知り合いの子どもたちを指導するなかで「思った以上に基礎を知らない子が多かった。自分の過去と重ね、少しでも役に立ちたい。気づくのは早ければ早いほうがいい」と、本格的に指導者を目指すことになった。

指導で大切にしていることは「可能性を狭めない」

U-18高校日本代表で活躍した八代氏【写真:本人提供】

 自らの知識だけでなく最新の野球理論も勉強し、指導に定評のある野球塾やチームにも積極的に足を運んだ。「昔、野球をやっていたからできるほど簡単な世界じゃない。個々によって考え方、伝わり方は違うので引き出しは多いほうがいい」。大阪桐蔭出身で野球塾「Amazing」名古屋校の塾長を務める水本弦さんにもアドバイスを求め、昨年12月にプレオープン、そして今年1月から本格的に「WIN Baseball School」をスタートさせた。

 指導で大切にしているのは「可能性を狭めない」ことだという。体が小さいから単打、足が速いからゴロを打つ、などの固定観念に捉われる必要はないと考えている。野球は身長・体重の体格差でアドバンテージもあるが、体の使い方や正しい打撃、投球フォームを覚えることで、その差を埋めることは可能だと考える。

「打球の飛ばし方を知っていれば、上のレベルでも必ず生きていきます。投げ方も同じで、小さいころに知識、理論を知る・知らないとでは、大きな差が出てきます。野球人はどれだけ実績を残しても誰もが後悔する。『あの時にこうしていれば』という選手を1人でもなくしたいと思っています」

 自らがバットを持ち実演し、子どもたちにも分かりやすい指導は保護者から好評で、すでに多くの申し込みがあるという。「型にはまった選手ではなく、どんな場面、状況でも対応できる選手を作っていきたいですね」。高校で甲子園に出場し、日の丸を背負った“球児”の挑戦は始まったばかりだ。

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