イベントで発覚した小学生の“異常” 自覚症状なくとも…手術リスク下げる「初期診断」

公開日:2023.12.13

更新日:2024.01.15

文:間淳 / Jun Aida

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小学生対象の野球教室&肩肘検診開催…60人中1人に肘の問題判明

 指導者と保護者の理解が、子どもたちの将来を左右する。さいたま市で2日、地元で野球スクールなどを運営するNPO法人「ファイアーレッズメディカルスポーツクラブ」主催の「野球教室&肩肘検診」が開催された。イベントでは怪我を防ぐストレッチも紹介。検診を野球教室と組み合わせることで、障害予防への関心を高める狙いがある。

 肩肘検診は、さいたま市や近隣で勤務する医師や理学療法士らが担当した。その中心を担った慶応大学医学部スポーツ医学総合センター助教で、NPO法人埼玉スポーツメディカルサポート副理事長の山田唯一氏は、埼玉県内で障害予防の大切さを訴える活動を続けている。

 今回の検診では、さいたま市・浦和区の小学生を対象に、問診やエコーで肩や肘に異常がないかをチェックした。参加した約60人のうち、選手1人に初期段階の問題が見つかった。山田氏は「異常があった選手は肘の内側に痛みがあったので病院に行き、球を投げることを控えていた時期があったそうです。ただ、今回の検診で問題が見つかったのは肘の外側で、選手は痛みや違和感といった自覚症状がありませんでした」と説明する。

 小学生の年代では重い怪我になるケースは少ないが、初期段階を見逃すと中学生以降に手術が必要になる可能性が高くなるという。山田氏は「埼玉県内では地域によって障害予防に対する温度差があります。意識の高い指導者が増えてきた印象はありますが、まだ十分とは言えません。その中で、検診に子どもたちを連れてきてくれた保護者や指導者には感謝しています」と語る。

検診を単独で行うよりも野球教室との“組み合わせ”で高まる参加率

怪我予防ストレッチをする選手たち【写真:間淳】

 肘肩検診では、理学療法士が怪我を予防するストレッチも紹介した。自宅でも続けられるように腕や肘、太ももやお尻などの柔軟性を高めるメニューを記した冊子を配った。山田氏は怪我で苦しむ子どもを減らすには「大人の理解や協力が不可欠」と力を込める。

「肩や肘に異常が見つかった選手は、しばらく球を投げられなくなります。リハビリを続ければ治るにもかかわらず、保護者や指導者が急かして怪我が悪化してしまうケースがあります。保護者と指導者が怪我に対して正しく理解していなければ、選手たちの将来を潰してしまう可能性があります」

 肩肘検診を単独で開催するよりも、今回のイベントのように野球教室と組み合わせた方が参加率は高くなる。イベントには野球用品メーカーや地元企業も協賛した。少しずつではあるかもしれないが、着実に障害予防の輪は広がっている。

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