TURNING POINTで練習に密着、子どもたちに伝えたいこと
全国制覇3度を誇る中学チーム・東都クラブ京葉ボーイズには、強豪と呼ばれるだけの指導力が監督、コーチたちに備わっている。関口勝己総監督は社会人の名門・NTT関東(現NTT東日本)でプレー。巨人の小笠原道大氏(現・3軍打撃コーチ)らとともに汗を流した。多岐に渡る指導の“引き出し”で選手の能力を伸ばし、昨夏(2022年)のジャイアンツカップでは準優勝。選手たちを大阪桐蔭などの名門校にも送っている。
2022年に創部10年を迎えた京葉ボーイズは前年(2021年)のドラフト会議で初めてプロ野球選手も誕生した。ロッテからドラフト2位で指名された池田来翔内野手(国士舘大)だ。まだ創設から時間は経過していないが、高い技術力で選手の能力を伸ばしてきた。「TURNING POINT」では京葉ボーイズの練習に潜入取材し、その強さの秘密に迫った。一体、どんな練習をしているのか――。そこにはあらゆるケースを想定した緻密な“準備”があった。
ひとつ例を挙げるとすると、三塁への盗塁練習。関口総監督は「走塁が一番、大事だと思っている」と位置付ける。京葉ボーイズの三盗には「首振り」「二遊間の開き」など、状況に応じた“隊形”を敷いて、選手たちに走る意識を植え付けていた。
「投手はね、緊迫するとクセが出るんです」……。関口総監督が言う通り、京葉ボーイズではそのあらゆるクセを想定し、状況判断の感覚を磨いている。
まずは「首振り」というカテゴリーから、チーム内で「クビイチ」と呼ばれているパターンを紹介する。
「クビイチ」とは、走者が二塁にいる時、投手がセットポジションで一度だけ、二塁に顔を向けてから、牽制球を投げずに投球モーションに入るケース。首を一回振るだけの牽制で投球に入る投手=「クビイチ」だ。
投手が首を一度だけ二塁方向に振り、牽制球を投げずに顔の位置をセットポジション時に戻そうとした瞬間に、シャッフルをして、走者はスタートを切る。ちなみにシャッフルとは走者がリードの姿勢から、すり足のように右足に左足を引きつけ、次の塁の方向へ踏み出していく動きのこと。飛び跳ねながら進んでいるような動きを指すことが多いが、左足を引きつけることを繰り返し、リードの幅を広げていくのが狙いである。
【実際の映像】東都京葉ボーイズの三盗練習「クビイチ」の実際映像 シャッフルからスタートのタイミングは?
走者がスタートを切らずに、首を戻した瞬間にシャッフルする理由は「牽制でプレートを外されても帰塁ができるように」と関口総監督は説明する。首を二回振ってから投げる投手のケースの想定や、牽制の二塁ベースカバーに入った二遊間の選手が、二塁ベースから離れた瞬間にシャッフルを始めるケースなど、あらゆるパターンを想定して、三盗の練習に取り組んでいた。
動画の中で指揮官は「二塁手と遊撃手の動きを見て、牽制がないかどうか、判断してもらいたいです」と解説する。京葉ボーイズが行なっている実際の練習でTURNING POINTのカメラが捉えた練習方法を視聴者の方は早速、次のご自分の練習にドリルとして、取り入れることができるようになっている。
関口監督はそのほかにも、キャッチボールやクイック、トスバッティングといった基礎メニューも包み隠さず、全国の少年野球指導者、保護者に向けて紹介してくれている。TURNING POINTでは全国トップレベルの練習を“体感”することができる。三盗と聞くと高等技術なのかもしれないが、状況判断を養うという意味では、大事な練習だ。「この時期(中学時代)に教えておけば、上にいけばできるようになる」と関口総監督。今はできなくてもいい。可能性を引き出す“準備”ととらえてもらいたい。