「日本人はリズム感がない」は真実か 黄金期に効果的…運動神経を育む“毎朝の習慣”

リズム感の有無で「新しい動きを覚えるスピードなどに差が出てくる」
リズム感のある選手は、運動神経の良さにも繋がっていく。一般社団法人「スポーツリズムトレーニング協会」(略称STAR)認定のインストラクター・渡辺智典さんは、「ある人と、ない人では新しい動きを覚えるスピードなどにも差が出てくる」と指摘し、子どもから大人まで幅広く指導を行っている。First-Pitchでは、野球などのスポーツ界で活躍する専門家・トレーナーに子どもの「運動神経向上」をテーマに取材。リズム感と運動神経の関係性について聞いた。
音楽に合わせて体を動かし、運動能力や集中力を高めるリズムトレーニングは、野球など様々なスポーツで取り入れられている。プロ野球の世界でもDeNAやロッテが、ウオーミングアップで取り入れているほど。リズム感と運動神経の関係について渡辺さんは「タイミングを合わせる。力を抜く、入れるなどスポーツには必要な力。それを遊び感覚のなかで育てることができます」と説明する。
ただ、世界的にみれば日本人は昔から「リズム感がない」と言われている。感情表現や自己表現が苦手でシャイなイメージを持たれがちだ。それらを克服するため、2012年から中学校の保健体育授業でダンスが必須科目となったのは記憶に新しい。なぜ、日本人はリズム感がないと言われるのか。その背景として、渡辺さんは文化や環境の違いを挙げる。
「日本では4拍子はなじみがあると思いますが、8拍子(8ビート)でリズムを取ったり、ダンスを踊ったりする習慣や環境にはあまり恵まれていません。日本人は多様なリズムに触れる機会が少なく、リズムを取る時にバリエーションが少なくなってしまう。日本人は決してリズム感がないのではなく、触れる機会が少なかっただけという方が正しい気がします。日本人が米国、欧州で生まれて文化や環境に触れ続けると、ノリや雰囲気が変わってくるのと同じです。最初はダンス=恥ずかしいと思う方がほとんど。文化的な要素が強いかなと感じています」
リズム感を養うためには?「まずは音を耳に入れる」
では、リズム感を養うためには何から始めればいいのか。渡辺さんは「まずは音を耳に入れるだけでも」と口にする。テンポの良い曲は歌詞を知らなくても、子どもは口ずさむため「生活の一部に音楽があるといい。朝の出かける準備の時などに、親子で一緒になって口ずさんだり、軽くステップを踏んだり。そこからスタートしても十分」。特に「ゴールデンエイジ」と、呼ばれる脳神経や運動神経が発達する5歳〜12歳頃の時期が効果的だという。
音楽でリズムを感じることが習慣になれば、次は動きも加えていく。自宅でも可能なトレーニングとして、手拍子や真似っこゲームなどがお勧めだという。「親がダンスの先生になりきれば、子どもは親の真似をします。簡単なことでもいいので毎日コツコツとやることが大切です」。片手だけ、ジャンプしながら、といった“制限”をつけることで感覚はより養われていく。
身長、体重、筋力などは成長と共に伸びてくる。だが、そこにリズム感が加わればフットワークや体のしなやかさが変わってくる。それは、一般的に“センス”と呼ばれるものに近い。リズム感のある子どもたちは成長するにつれ「自分の体に落とし込むのが上手くなります。感覚や技術を“ダウンロード”する時間が非常に早い」と語る。
21日から開催されるイベント「運動神経向上LIVE」でもリズムトレーニングを紹介。野球を含めスポーツの技術向上に「運動神経」は必要不可欠。幼少期から意識して鍛えていくと、子どもたちのポテンシャルは高くなっていく。
リズムトレーニングなど、子どもの運動神経向上に役立つ練習法を紹介!
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