良いスタートを切るカギは“垂直跳び” 専門家が解説…盗塁成功率を上げるコツ

文:間淳 / Jun Aida

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個々に違うベストの構え方…垂直跳びにヒント

 わずかな差で明暗が分かれる盗塁は、スタートが大きな意味を持つ。ただ、スタートを切る構え方を意識する選手は意外と少ない。足を武器にして福井商で甲子園に2度出場し、現在はランニングトレーナーを務める村田和哉さんは、垂直跳びにヒントがあると話す。

 村田さんは大学在学中に野球から陸上に転向し、実業団の陸上部でも活躍した。100メートルのベストタイムは10秒29。現在は、SNSによる情報発信や走り方の指導をしている。高校時代は福井商で2度の甲子園出場を果たした。自慢の足で、福井大会では1試合7盗塁を記録した経験もある。

 野球と陸上、どちらも知る立場から少年野球の子どもたちにも走りを教えている。野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のオンラインイベントでは、盗塁の成功率を上げる構え方についても解説した。

「鋭く飛び出すためには、一番力が発揮できるポジションで構えることが大事です。棒立ちでは力が入りません。大半の選手は何となく構えている印象があります」

飛び上る寸前で体を止める「お尻を後ろに出す意識が重要」

 選手それぞれが最も力の入る構え方を探す方法として、村田さんが勧めるのは「垂直跳び」。足を肩幅に開いて、できるだけ鋭く高く一度ジャンプする。次に、跳び上がる寸前で体を止める。この跳び上がる直前の姿勢が、盗塁の構えで理想の形になるという。

「高く跳ぼうとするポジションは一番力が入ります。ゆっくりではなく、鋭く跳ぶところがポイントです。しゃがみ込みが浅くなれば力が入りませんし、深すぎるとしんどくて高く跳べません。この時、両膝を前に出さず、お尻を後ろに出す意識が重要になります」

 また、体重はかかとに乗せないように呼び掛けた。足裏の中心からつま先側半分に体重を乗せると力が入りやすくなるという。村田さんは「正しいフォームを身に付けて手順を追って練習すれば、足は誰でも速くなります」と言い切る。自分が持っている力を最大限に発揮するため、盗塁成功率を上げる構え方や力の入れ方を覚えておきたい。

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