投ゴロ併殺のベースカバーは二塁手 or 遊撃手? 小学生に求める“徹底”「焦らず済む」

更新日:2026.11.04

文:尾辻剛 / Go Otsuji

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「野球脳キャラバン」で井口資仁氏が求めた守備力向上の“第一歩”

 守備の上達には、プレー前の心構えが大きく関わっている。千葉県柏市で10月に開催された少年野球指導イベント「野球脳キャラバン」(「TURNING POINT」主催)に、講師として参加した野球日本代表監督の井口資仁氏。小学生から守備で心がけていることを問われると「いい質問ですね」と笑顔を見せ、事前のシミュレーションの重要性を力説した。

「プレーが始まる前に、どういう打球が飛んできて、どう動けばいいのかを、いくつも考えます。正面のゴロだったらどこに投げるのか。弱いゴロならどうするのか。ボテボテなら走者にタッチしてから投げるとか、いろんなことを想像して頭に入れておきます。そうすると、あまり想定外のことは起きません。次のプレーが楽になるんです」

 例えば無死、または1死で走者一塁の場合、二塁手はゴロが飛んできた際に、打球の強さや方向によって二塁に送球するケースと一塁に送球するケースがある。打球次第で一塁走者にタッチするケースも想定しておく必要がある。一、三塁や満塁では二塁送球で併殺を狙うか本塁送球かの選択も迫られる。

「プレー前はどこに打球がくるか誰もわからない。だから1個や2個じゃなく3、4、5個と少しでも多く考えておく。そうすると意外と楽にプレーできる。ミスが少なくなってくる。自分のポジションはもちろん、他のポジションに飛んだときに自分がどういう動きをすればいいかも考えておくと、そんなに難しくなくなります」

 井口氏はダイエー時代、二塁手としてゴールデングラブ賞を3度受賞。メジャーリーグでも安定したプレーを見せた名手である。一流の守備を極めた背景には、守備位置に就いた際に脳内で繰り返した複数のシミュレーションの効果があったのだ。

どこに送球するかを明確にすることで「プレーが簡単に」

直接選手に声をかけ指導した【写真:藤岡雅樹】

 そうしたシミュレーションを、実戦形式の打撃練習や走者を置いたシートノックを実施したこの日のイベントでも指導。井口氏が何度も確認させたのが、事前の声かけだ。

 特に指摘が多かったのが、走者一塁の場面で、投ゴロが飛んで併殺を狙うケース。二塁ベースに入るのは、遊撃手なのか二塁手なのか。打者の右左によっても変わる場合があり、投球前にどちらが入るかを、サインや声かけなどで投手に伝えることを徹底させた。

「投手は投げるのに必死なときが多い。投ゴロを捕ったとき、先にどっちが入るかわかっていれば投げやすいし、焦らないで済む。声かけ1つで全くプレーが変わってくると思います」

 声かけは内野守備だけではない。長打を打たれた後の中継プレーでも必ず必要になる。打球を追っている外野手や中継に入るカットマンに対し、捕球後にどこへ投げるかを周囲が指示することで、プレーが進んでいく。指示次第で、カットマンが中継に入る位置も変わってくる。

「球を追いかけている選手は走者が見えていないから、どこに投げていいかわからない。中継に入っている選手も同じ。そこで迷うと、いいプレーができない。どこに投げるかを明確にしてあげると、プレーは簡単になります」

「プレー前の意識が守備力向上につながる」と選手たちに説いた【写真:藤岡雅樹】

 左中間や右中間を抜けたり、外野手の頭を越えたりした場合、外野手が打球を追い、二塁手や遊撃手は中継に入ることが多い。走者の動きを見る余裕があるのは、本塁を守る捕手、打者走者が駆け抜けたのを確認した後の一塁手、送球を待つ三塁手。それらのポジションの選手には、積極的に指示を出すように繰り返し説明した。

「技術も大事ですけど、プレーの前に考えておくこと、常に声かけすることが大事です」と井口氏。体格や技術の差は短期間では埋まらないが、プレー前の心構えや声かけは個人の意識の持ち方で変えられる。その意識の変化が、守備力向上の一歩となる。

【実際の動画】井口資仁さんが直接指導…事前の声掛けで「プレーが変わってくる」 考える力を養う「野球脳キャラバン」

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