“飛ばせない環境”なのに打撃力アップ 豪快でも安全…「重い砂球」でこだわる打球の質

公開日:2025.02.20

更新日:2025.11.07

文:内田勝治 / Katsuharu Uchida

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東京の学童強豪・不動パイレーツは狭い校庭でも「サンドボール打ち」で強化

 練習が制限される環境下で、打力を向上させるためにはどんな創意工夫ができるだろうか。東京都目黒区を中心に活動する学童野球チーム「不動パイレーツ」は、“小学生の甲子園”「マクドナルド・トーナメント」で一昨年は準優勝、昨年は3位に入った強豪だが、練習環境は決して恵まれたものではない。First-Pitchでは、少年野球の打撃指導などで豊富な実績を持つ指導者やトレーナーを取材。新6年生のAチームを率いる田中和彦監督が、狭い場所でも思い切りスイングできるバッティング練習法を紹介してくれた。

 不動パイレーツは土日祝日の試合のない日は、主に地元・不動小学校の校庭で練習を行う。縦40メートル、横70メートルほどと、都内の校庭としては十分な広さと言えるが、敷地のすぐ外には住宅街があり、マシン打撃を行う際には細心の注意が必要になる。

「校舎は強化ガラスを使っているので、割れる心配はほぼないですが、飛ばす子が打ったら、普通に(4階建て校舎の)屋上までいきます。極力怪我や破損がないよう、ネットに向かって打つ打撃練習が基本になります」

 ティー打撃では、小学用の軟式球であるJ号球(直径約69ミリ、重さ約129グラム)ではなく、一回り大きい中学用のM号球(直径約72ミリ、重さ約138グラム)やソフトボール(直径約97ミリ、重さ190グラム)を使用。「どんなボールでも芯に当たった時に気持ちよく運んでいける感覚を養ってほしい」と、横からだけでなく、時には後ろからトスをするなど、様々な方向に対して、しっかりとコンタクトできる技術を身に付けさせている。

 ただ、ネットに向かって打つばかりだと、スイングによって変わる打球の善し悪しが判別しづらい。そこでチームで取り入れているのが、重さ約450グラムの「サンドボール打ち」だ。前方から下手で投げてもらい、思い切り打ち返す。しっかりとミートした打球でも20メートルほどしか飛ばず、転がっていく心配もないため、限られたスペースで効率的にスイング力を鍛えることができる。

サンドボールは点と点でしっかり捉えないと遠くへ飛ばせない

練習で使用する重さ約450グラムのサンドボール【写真:高橋幸司】

 投手出身の田中監督は、「打撃に関しては打ち方、構え方は一切指導しない」というが、打球の「質」にはこだわる。サンドボールは重く柔らかいため、ボールの軌道にバットを入れて押し込むように打つ必要がある。しゃくり上げるようなスイングになったり、インパクトの瞬間に手首が返ったりすれば、質の良い打球はおろか、前に飛ばすことすら難しい。

「サンドボールは点と点でしっかり捉えないと遠くへ飛ばすことはできません。重いものを繰り返し打つので、パワーもかなりつくと思います。選手同士でも話し合いながら、どうすれば遠くへ飛ばすことができるか、考えながら打つようになります」

 この伝統的に続く打撃練習が実を結び、全国の舞台でも輝かしい成績を残してきた。新チームが目指すは、先輩たちを超える全国の頂点だ。

「一昨年と昨年の先輩たちのやり方を全部ひっくるめて『アルティメット(究極)化』した野球をしていきたいです。1000チーム以上ある東京を勝ち抜くだけでも大変で、どこも強いですが、もちろんウチにも可能性はあると思っています」。田中監督は、そう力強く語った。

【実際の動画】狭い校庭でも豪快にスイング 「サンドボール打ち」で磨く不動パイレーツの攻撃力

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