指導者に求められる伝える力 選手が理解できなければ「ゼロ」

 倉野さんは選手の価値観、反応などによって伝える方法を変えている。同じ内容でも、論理的な説明を好む選手もいれば、感覚的、抽象的に理解する選手もいる。そのために普段から選手を観察して性格を把握し、他の指導者や選手から情報を集めた。さらに、現役を引退した15年前から“修行”も積んでいた。

「伝える力を磨くために、講演活動をしています。技術論や体の仕組みを幅広く勉強することも必要ですが、まず大事なのは、いかに分かりやすく相手に伝えるかだと考えました」

 倉野さんは、ある例を挙げる。

「いい内容の話をしていても、何回も同じことを繰り返す人がいます。その場で3回、4回と同じ話を聞かされた人はうんざりしてしまい、せっかくのメッセージが響きません」

 指導者に知識が必要なのは言うまでもなく、選手に伝わらなければ知識は役に立たない。倉野さんは「説明を理解していない子どもを叱る指導者がいますが、指導者は分かるように説明する方法を学ばないといけません。伝える力を磨いて、選手が前に進んでいけるようにするのがコーチングだと思っています」と語る。選手に意図が伝わらなければ、指導とは言えないのだ。

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