少年野球で“ボスママ”が及ぼす悪影響 監督、コーチの起用法に口出しする母親の正体

公開日:2022.12.18

更新日:2023.11.10

文:First-Pitch編集部

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野球講演家・年中夢球さん…方針に口出す保護者は「チームをおかしくする」

 リトルリーグなどで約20年、野球の指導者として活動した人気の野球講演家・年中夢球(ねんじゅう・むきゅう)さんは、心に刺さる言葉で数多くの選手や保護者・指導者をメンタル面でサポート。時には涙する親もいる。少年野球と保護者の問題で表面化しているのは“ボスママ”の存在。指導者に注文を付け、他人の子にも干渉する母親がチームに悪影響を及ぼしている。解決策はあるのだろうか。

 チームの指揮を執る監督、子どもたちを指導するコーチがいるにもかかわらず、方針に“口出し”をする保護者、特に母親が問題視されている。母親の中でも、自分が言いたいことを言って、周囲に圧をかけている。“ボスママ”の存在は不要だと言っていい。

「結局、自分の子の地位を上げるためにやってる人が多いです。要は自分の子は『こんなにうまいのに……』『こんなに頑張っているのに……』っていう、何か理由をつけて、自分の子を守りたいだけなんです。子どもはそんなことを全く望んでいないのに。過保護を通り越して過干渉です。過干渉は子どもが望んでいないのにやってしまうことです」

 指導者と保護者の役割のラインは、絶対に飛び越えてはいけないとも年中夢球さんは強調する。ベンチからポジションの指示や打席への声掛け。本人は応援のつもりかもしれないが、子どもたちは大人の声に戸惑ってしまう。

「指導や選手起用、練習内容もそう。スタメンや背番号……一人の親がそれを言い始め、次々に言い出してしまったらチームがおかしくなるじゃないですか。指導者の権限であって、そこに不満があるんだったら『移籍した方がいいです』という話もしますね。チームの方針なのですから」

 なぜ、過干渉が生まれるか。年中夢球さんは「結果を求めているから」と指摘する。大人の勝ちたい“欲”が、チームを壊し、周りに迷惑をかける。

“ボスママ”を抑えるには、方針を曲げない指導者の力が必要

「勝ちたいとか、スタメンを取るとか取れないだとかという話を大人がクローズアップすると、いろんな悪影響が出ます。最悪なのは試合中に監督が取った作戦や起用を否定してくること。結果論は誰でも言えます」

 それを防ぐのは、チームの代表や監督しかいない。そういう指導者たちが抑えないといけない。“ボスママ”や保護者は自分の意見が通ると思っているため、指導者がその意見に迎合してしまったり、曖昧にしたりすれば、“被害者”は続出する。

「例えば、安全面など運営上のことだったら意見を言ってもらうのはいいかもしれませんが、チーム方針に関する意見が複数あったらキリがない。まとめるのは監督です。でも、親が言った意見に折れる監督がいる。そうすると方針が全部ぶれてしまいます」

 保護者の言うことを聞いてあげる寄り添い方の姿勢を否定しているわけではない。采配の部分に関して、注文を付けてくる親を止めるのは、監督の仕事だ。その監督は決めたチームの方針を崩してはいけない。“被害”を受けるのは、頑張っている他の親や子どもたちだ。

チーム方針が崩れれば「全部、不信感に繋がってしまいます」

「練習を休んでいる子よりも来ている子を使うと言っておきながら、勝ちたいから、休んでいるけどうまい子を使うのもNG。それならばはじめから、休んでも『うまい子を使う』と言っておかないといけない。いい、悪いは置いといて、これは方針通り。その方針が崩れていくと全部、不信感に繋がってしまいます」

 自分の子の“地位”向上、目先の試合に勝ちたいという欲による大人の干渉は子どものためにならない。

「本来、子ども自身が気付く場面だったり、考える場面を周りの大人が言えば言うほど、その機会を失わせている。自分で考えられなくなっているから、プレー中も指示がないし、とっさの判断でどうしようかと迷ってしまう。普段の練習でいろいろ言いすぎると、指示待ち人間しか出てこなくなってしまいますよ」

 子どもを守りたい気持ちはわかる。だが、少年野球は大人のものではない。子どもが心から楽しめる環境の整備を大人たちにはしてもらいたい。チーム側には、どこまでが許容の範囲なのかはっきりとした意思表示を示してもらいたい。

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