県の高校に僅か2チーム、競技人口は“16分の1”も 軟式は「生涯スポーツ」…硬式にない魅力

更新日:2026.05.28

文:喜岡桜 / Sakura Kioka

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全国大会に12回出場…比叡山軟式野球部の西川弘基監督が明かす“現状”

 チーム数や部員数が多く、プロの興行もあり華やかな硬式野球。だが、そこにはない魅力が軟式野球にある。日本高野連による2025年5月末の集計によれば、全国に硬式は3768チームあり、部員12万5381人が在籍している。対して軟式は369チーム。部員数は2016年に1万人を割り込み、昨年度は7663人だった。ライバルが多く、阪神甲子園球場で開かれる全国大会を目指す日々の方が、“野球人生”は豊かなのだろうか。

 毎年8月に“高校軟式野球の聖地”である兵庫・明石トーカロ球場で決勝が行われる「全国高等学校軟式野球選手権大会」に12回出場している比叡山(滋賀)の西川弘基監督は、球児だった青春時代も軟式一筋。自身の経験を踏まえ、今の軟式野球部員が過ごしている状況をこう話す。

「滋賀県には3校2チームあり、うちは人数が多いのですが、練習試合、合同練習を一緒にさせていただくことがあります。例えば修学旅行で1学年いないとか、状況によって合同練習をさせてもらっていることで(チームの垣根を超えた一体感が生まれ)、『滋賀県から近畿を勝ち抜いて全国へ!』という、盛り上げていこうとする気持ちが強くなるんです」

 高校の軟式野球は全国大会が1年に1回しかない。「全国高等学校軟式野球選手権大会」だけで、滋賀県勢が出場するには、チーム数が多い大阪府と兵庫県を除く、京都府、奈良県、和歌山県のチームと「近畿枠」を争わなければならない。2022年の比叡山以降、同代表枠を3年連続で天理(奈良)に譲っているため、滋賀県勢はなおさら燃えているのだ。

軟式野球を通じて形成されるコミュニティ…道具を大切に扱う習慣付け

春の軟式交流試合に西日本チームの一員として出場した【写真:喜岡桜】

 近隣府県へ遠征することも多く、「幅広く交流できていると思いますよ」。全年齢層を対象にすれば軟式は、硬式より遥かに競技人口が多いことから、野球をきっかけに世代を超えた親交や、生徒同士の長い付き合いが期待できる。

 さらに、競技を続けるためにかかる出費も抑えられる。「バス移動もありますが、公共交通機関を利用することもあるので、出費はそれ(硬式野球)ほどではないんじゃないでしょうか」と語り、「入部する時の費用はかなり差があるでしょうね」と頷いた。軟式チームで野球を始め、硬式へ転向する際、チームや学校から指定された道具を一式“そろえ直す”のは、家庭にとって大きな金銭的負担がかかる。

 しかし軟式の場合、「どうしてもユニホームなど、購入していただかないといけないモノはありますが、グラブなど、中学の軟式野球部で使用していたものをそのまま使うことができるんです」。道具を大切に扱う心掛けも、おのずと養われるという。

「小学生の時は軟式球で野球を始めた子が多くて、(中学や高校で硬式に転向しても)大人になっても野球をやっているとね、最後にまた、軟式野球に戻られる方が多いんです。だから軟式野球こそ“生涯スポーツ”かなと思いながら、子どもたちを指導しています」

 そう語りながら、4日に阪神甲子園球場で行われた「第2回 春の軟式交流試合 in 甲子園」に西日本チームの一員として出場した中村一心内野手(3年)を、西川監督はバックネット裏から見守った。スタンドが無料開放され、高校球児たちの真剣なプレーや一体感ある賑やかなスタンド応援に、多くの一般来場客が心を掴まれていた。

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