炎天下では水分に加えて塩分と糖分が必要
少年野球の指導者や保護者の中には、子どもたちの飲み物について考える人も多いのではないだろうか。プロ野球チームなどにも指導の経験がある日本体育大学教員でスポーツ栄養士の安達瑞保さんは注意点はあるものの、スポーツドリンクを水やお茶より推奨したい場面があるという。
Q:今の少年野球は10年、20年前と違い、試合中や練習中の水分補給が推奨されています。どんなタイミングで水分補給するのが効果的なのでしょうか?
「練習中に汗で失っている水分量と、摂取する水分量をほぼ同じにするのが理想です。実は、喉が渇いたと感じる時には、すでに脱水が始まっています。1度にたくさん飲んでも喉の渇きは癒えないので、15~20分間に1回など、こまめに飲むようにしてください」
Q:野球の練習中や試合に摂取する水分は水やお茶が一般的ですが、スポーツドリンクは賛否両論を耳にします。安達さんは、どのようにお考えですか?
「食育が普及して、スポーツドリンクは甘いので摂りすぎると肥満につながったり、虫歯になったりすると指摘される場合があります。ただ、練習環境によってはスポーツドリンクの方が安全にスポーツをするために理想的な時があります」
Q:スポーツドリンクが理想的なタイミングは、いつですか?
「練習時間が長く、エネルギー消費量が多い時や気温や湿度がものすごく高く、発汗量が多い時です。適度な糖分や塩分が含まれているスポーツドリンクは、水やお茶よりも水分の吸収効率が高くなります。大量の汗によって、ナトリウムを失った時、摂取するのが水やお茶だけになってしまうと、血液中のナトリウム濃度が低下する場合があります」
スポーツドリンクを飲むことで虫歯のリスクはある?
Q:そうなるとどのような状態になりますか?
「ナトリウムの濃度が低下し過ぎると、頭痛を引き起こしたり、深刻な状況では意識障害を伴う可能性もあります。汗で多くの塩分を失ってしまう場合には、水分に加えて糖分と塩分も吸収できるスポーツドリンクが有効になります。野球は炎天下でプレーする時があるので、練習時間が長くなったら、スポーツドリンクでエネルギー補給もしましょう」
Q:虫歯のリスクを軽減する方法はありますか。
「試合や練習中は、すぐに歯を磨ける状況ではないと思います。そんな時、スポーツドリンクで水分補給をした後に、口をゆすぐ目的で水やお茶を一口飲むことが、虫歯予防になると歯科医は推奨しています。野球の補食でカステラやアンパンなど甘いものを食べた時も同じですね」
Q:スポーツドリンクもいろいろありますが、何を基準にすればいいのでしょうか?
「摂取する目的は熱中症の予防です。夏だけではなく冬でも熱中症になる可能性はあります。特に、急に気温が高くなった時などは注意が必要です。発汗量が多くなる場合には水やお茶よりスポーツドリンクの利用をおすすします。スポーツドリンクは糖質と塩分を適度に含んでいるものを選びましょう」
Q:選ぶ上で見るべきポイントはありますか?
「栄養表示を見て、100mlあたりでエネルギーが16~32キロカロリー、炭水化物は4~8g、ナトリウムが40~80mgのものを選びましょう。炭水化物(糖質)の割合が濃くても、薄くても、効果が下がってしまいますが、大手メーカーから販売されているものは理想的な配合になっていると思います。エネルギーゼロ、カロリーオフタイプのものだと、エネルギー補給の目的を果たせません」
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