少年野球のカリスマが「本当は秘密にしたい」真髄 選手の成長止める“的外れな批判”

公開日:2022.12.28

更新日:2023.12.26

文:間淳 / Jun Aida

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多賀少年野球クラブ・辻正人監督が「脳サイン野球」の秘密を披露

 滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督が、全国屈指の強さのゆえんとも言える心臓部を特別に明かした。チームの象徴とも言える「ノーサイン=脳サイン野球」を可能にする座学の内容を披露。保護者も参加して理解しなければ、選手の成長を止めてしまうと訴えた。

 野球用品メーカー「フィールドフォース」が千葉・柏市にオープンした「ボールパーク柏の葉」の記念イベントが18日に行われ、辻監督が登場。全国大会常連で日本一に3度輝いている強さの秘訣を、少年野球チームの指導者らが参加した講習会で伝えた。

「なぜ、多賀の子どもたちがノーサイン=脳サイン野球ができるのか。多賀の真髄とも言える座学についてお話します。本当は秘密にしたい内容ですが、野球を衰退させないためには広めていく必要があると思いました」

 多賀少年野球クラブの真髄――。指導者がサインを出さず、選手自身が考えアイコンタクトで試合を運ぶ「脳サイン野球」は、辻監督による座学が土台となっている。

 選手が小学校低学年のうちから、走攻守で場面に応じた動きを教えていく。例えば無死三塁の攻撃では、打者は犠牲フライやスクイズではなく、フルスイングで長打を狙う。同じケースの守備になると、投手や捕手はリスクを背負ってでも牽制球で三塁走者を刺そうとする。

無死三塁の守備でバッテリーが一か八かの牽制球をするワケは?

 この根本には「1死三塁では必ず点が入る」という考え方がある。攻撃であれば、1死三塁から内野ゴロやスクイズで得点できる。つまり、無死三塁で打席に入った打者はアウトになっても構わないため、長打を狙うのだ。

 守備で1死三塁のピンチを迎えた時は、1点取られるとあきらめているという。だからこそ、無死三塁の場面では一か八か走者をアウトにする方法を選ぶ。仮に牽制悪送球で失点しても痛手はない。

 座学で学んだことを選手たちは試合で表現する。しかし、保護者が内容を理解していないと、無死三塁の打席で強振したり、牽制で悪送球して失点したりした時に、子どもを叱ってしまう可能性がある。辻監督は、こう話す。

「選手がベストだと判断したプレーを保護者が批判すると、選手の成長を止めてしまいます。多賀の子どもたちは大人の指示ではなく、常に自分たちで考えて動いています」

 小学校低学年の時から座学を受ける選手たちは、高学年になると次のプレーはもちろん、2手、3手先の動きまで考えているという。選手が安打や凡退といった結果だけで評価されないように、辻監督は保護者にも座学の内容やチームの考え方を伝えている。

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